〈物語〉シリーズ

忍野忍

おしの しのぶ

阿良々木暦の影に棲む、金髪幼女の姿をした吸血鬼のなれの果て

金色の髪をなびかせる幼子の影に、かつて世界を滅ぼしかけた王がまどろむ。ドーナツひとつで相好を崩すその横顔に、六百年の歳月は見えない。

忍野忍のフィギュア
忍野忍のカバー画像

概要

忍野忍は、西尾維新の小説〈物語〉シリーズおよびそのアニメ化作品に登場するキャラクター。阿良々木暦の影の中に潜んで暮らす、金髪の幼女の姿をした吸血鬼の生き残りである。忍野メメによってこの名を与えられ、普段は無口だが、ドーナツやゲームを好む一面も見せる。

忍野忍のリラックスカット

性格

力を失った直後は誰に対しても無口で、恨めしそうに周囲を睨むだけの日々を送っていたが、時を経るにつれて次第に饒舌さを取り戻していく。

一人称は「儂」、語尾に「〜のじゃ」を付ける古風な口調が特徴で、阿良々木暦のことは「お前様」と呼ぶ。素っ気ない態度を崩さない一方で、根には義理堅さや情の深さがあり、軽口の裏に本音を隠すタイプでもある。

大好物のミスタードーナツ(特にゴールデンチョコレート)を前にすると我を忘れて興奮し、感激のあまり「ぱないの!」と叫ぶなど、年相応にあどけない一面も覗かせる。ニンテンドーDSでのゲームもお気に入り。

忍野忍のシリアスカット

能力

かつての力の残滓を、今も部分的に行使できる。相手の生命力を吸い取るエナジードレイン、腕から繰り出す斬撃ブレード、そして阿良々木暦の影の中に潜んで移動する能力が代表的なものである。

暦の血を多めに吸うことで一時的に力を取り戻すことができ、それに比例して幼い外見も本来の姿へと近づいていく。あらゆる物を瞬時に生み出す物質創造能力も備えており、弱体化した現在でも、暦の影の中でニンテンドーDSを生み出して遊ぶなど、条件次第で発揮されることがある。

活躍

普段は阿良々木暦の影の中に身を潜め、必要なときにだけ姿を現す。暦がさまざまな怪異に悩む少女たちと関わっていく中で、傍らから助言を与えたり、時に力を貸したりして物語に伴走していく。

忍野メメが街を去った後は、廃ビルを離れて暦のそばで日々を過ごすようになる。当初は自分を弱体化させた張本人である暦に強い恨みを抱いていたが、共に過ごす時間を重ねるうちに、その関係は少しずつ変化していく。

エピソード

「忍野忍」という名の名付け親は忍野メメ。元の名「ハートアンダーブレード」=「刃の下の心」を、漢字の「忍」(刃の下に心)にかけたものだとされる。

代表的な決め台詞「ぱないの!」は、『偽物語(下)』収録の「つきひフェニックス」で、暦に連れて行かれたミスタードーナツの店内でショーケースいっぱいのドーナツを目にし、感激のあまり口にした一言が由来。以来、興奮した際の決め台詞として定着した。

声を担当するのは、アニメ版が坂本真綾、ドラマCD版が平野綾

ネタバレ

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忍野忍の正体は、かつて「鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼」キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと呼ばれた伝説の吸血鬼である。全盛期は本気を出せば十日で世界を滅ぼせるほどの力を持ち、怪異の王・怪異殺しとして各地を渡り歩いていた。さらに遡れば、彼女はもともと人間で、とある小国の貴族の令嬢「アセロラ姫」であり、一人の吸血鬼によってその姿を変えられたのだという。

高校2年の春休み、日本を訪れていたキスショットは、吸血鬼ハンターの三人組に四肢を切り落とされ、瀕死の状態にまで追い込まれる。彼女を見つけた阿良々木暦は、消えゆく彼女を救うために自らの血を差し出し、その結果、暦自身も吸血鬼の性質を帯びることになった。

事態を収拾するため、最終的に関係者全員が不幸を分け合いながらも誰も命を落とさない形で決着がつけられ、キスショットは力の大部分を失った成れの果てとして、8歳程度の幼女の姿に縮小する。この経緯から彼女は当初、暦を深く恨むことになるが、これが「忍野忍」として暦と共に生きていくことになった始まりである。