概要
スペイン南部グラナダに残る、イベリア半島最後のイスラム王朝ナスル朝の宮廷文化を伝える文化遺産です。要塞・宮殿都市のアルハンブラ、王家の夏の離宮ヘネラリーフェ、対岸の旧市街アルバイシンが、イスラム建築と都市景観の成熟した姿を一体として示します。
見どころ
ライオン宮とライオンの中庭
王の私的空間に設けられた中庭で、12頭の獅子が支える噴水、細身の列柱、透かし彫りのような漆喰装飾が調和します。水と光が刻々と表情を変えるナスル朝宮殿芸術の中心です。
ヘネラリーフェの水庭
王家の夏の離宮では、アセキアの中庭を長い水路と噴水が貫きます。水を景観と涼しさの両方に生かした庭園は、乾燥地に花開いたイスラムの造園技術を実感できる場所です。
地理
アンダルシア地方グラナダの丘陵地にあり、アルハンブラ宮殿はダーロ川を見下ろすサビカの丘に築かれています。谷を隔てた丘には王家の保養地ヘネラリーフェがあり、さらにダーロ川の対岸には白壁の家々と細い街路が連なるアルバイシン地区が広がります。
乾燥しやすい土地でありながら、シエラ・ネバダ山脈から導いた水を中庭、噴水、水路、庭園へ巡らせた空間構成が特徴です。建築、庭園、水、周囲の丘が結びつき、グラナダ固有の文化的景観をつくっています。
歴史
1238年、ナスル朝を開いたムハンマド1世がアルハンブラ宮殿の建設に着手しました。創建後も増改築が重ねられ、王の私的空間であるライオン宮、政務の場であるコマーレス宮殿、コマーレス宮殿のアラヤネスの中庭などが整えられました。壁面を覆う幾何学・植物文様のアラベスク模様と、水や光を取り込む精緻な設計から、イスラム建築の最高峰と評価されています。
1492年にグラナダがキリスト教勢力へ明け渡された後も王宮として用いられ、改変を受けながら保存されました。1984年にアルハンブラ宮殿とヘネラリーフェ離宮が世界遺産に登録され、1994年にナスル朝期の都市構造を伝えるアルバイシン地区まで範囲が拡大されました。
