紀元79年の噴火が古代ローマの日常を封じ込めた三つの考古地区

ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの考古地区

Archaeological Areas of Pompei, Herculaneum and Torre Annunziata

石畳の轍、食堂の壁画、静かな石膏像が、火山灰の下で止まった一日を語る。

ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの考古地区のミニチュア

概要

イタリア南部カンパニア州で、紀元79年のヴェスヴィオ山噴火に埋もれたポンペイとエルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの別荘群からなる文化遺産。建造物、広場、街路、壁画、生活道具がまとまって残り、古代ローマ都市と上流階級の暮らしを比類なく具体的に伝える。

  • イタリア
  • 文化遺産
  • 1997年登録
  • 検定2級

見どころ

ポンペイの発掘区に残る火山灰由来の犠牲者の石膏型

噴火の瞬間を伝える石膏像

火山灰中で遺体が失われたあとに残った空洞へ石膏を流し、犠牲者の姿勢や衣服の痕跡を再現した考古資料。都市災害を個人の瞬間として伝える、ポンペイを象徴する発掘技法である。

赤いフレスコ画と幾何学床モザイクが残るヴィラ・オプロンティスの室内

オプロンティスの赤いフレスコ画

トッレ・アヌンツィアータのヴィラでは、赤い壁面に列柱や建築、植物、静物を描く精緻なフレスコ画と床モザイクが残る。都市遺跡とは異なる、古代ローマ上流層の洗練された住生活を伝える。

地理

三つの考古地区はナポリ湾東岸、ヴェスヴィオ山の南から西麓に位置する。ポンペイには城壁内の広大な市街が残り、フォルム、神殿、浴場、劇場、円形闘技場、商店、住居、石敷き街路から公共生活と日常生活の全体像を読み取れる。

エルコラーノはより厚い火山噴出物に覆われ、二階建て家屋や木材など有機物まで残った街区をもつ。トッレ・アヌンツィアータにはオプロンティスの豪華な別荘群があり、広い室内、庭園、赤を基調とする精緻なフレスコ画が、古代ローマの富裕層の生活を伝える。性格の異なる三地区が、一つの災害によって保存された社会の幅を示す。

ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの考古地区の風景

歴史

紀元79年、ヴェスヴィオ山が大噴火し、ポンペイは火山灰や軽石に、エルコラーノは高温の火砕流堆積物に埋もれた。都市活動は突如止まり、建物や広場、壁画、日用品が噴火時に近い状態で地中に封じ込められた。

遺跡は16世紀末に偶然見つかり、その後の発掘で古代都市の姿が次第に明らかになった。18世紀にはエルコラーノとポンペイで本格的な発掘が始まり、古代ローマ研究やヨーロッパの美術・建築理解に大きな影響を与えた。火山灰の中で遺体が分解してできた空洞へ石膏を流し込む方法によって再現された犠牲者の姿は、悲劇の瞬間を今に伝える。1997年、三地区は世界遺産に登録された。

参考

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