概要
スペイン南西部メリダに残る古代ローマ植民市アウグスタ・エメリタの遺跡群です。紀元前25年、アウグストゥスがスペイン戦役後の退役兵の居住地として築き、属州ルシタニアの州都・交通の要衝へ発展しました。劇場、円形闘技場、競技場、橋、水道施設が属州都の姿を伝えます。
見どころ
5,500人を迎えたローマ劇場
半円形の階段式観客席とコリント式円柱が並ぶ舞台壁がよく残り、属州都の娯楽と公共建築の規模を実感できます。隣接する円形闘技場とあわせて都市の繁栄を物語ります。
水道施設が支えた属州都
ロス・ミラグロス水道橋の高い橋脚と連続アーチは、遠方から市街へ水を導いたローマの給水技術を伝えます。花崗岩と赤煉瓦を組み合わせた構造も見どころです。
地理
メリダはスペイン南西部エストレマドゥーラ州バダホス県、グアディアナ川沿いに位置します。イベリア半島の主要都市を結ぶ陸路と河川交通が交わり、古代には属州ルシタニアを統治する拠点となりました。
遺跡は現代都市の各所に分布し、グアディアナ川の長大な石橋、半円形のローマ劇場、円形闘技場、広大な戦車競技場、水道橋と貯水・配水施設などが、娯楽・交通・給水を備えたローマ属州都の都市基盤を示します。
歴史
紀元前25年、アウグストゥス帝はスペイン戦役の終結後、退役兵の植民市としてアウグスタ・エメリタを建設しました。都市は属州ルシタニアの州都となり、イベリア半島の主要都市を結ぶ交通の要衝として成長しました。
ディオクレティアヌス帝の時代には「スペインのローマ」と呼ばれるほど繁栄しました。帝国期とその後の都市生活を伝える遺構のうち、階段式観客席をもつローマ劇場は最大約5,500人を収容したとされ、隣には円形闘技場が残ります。1993年、消滅したローマ文明の証拠と属州都の顕著な見本として登録基準(iii)(iv)で世界文化遺産に登録されました。
