概要
トルコ西部ヒサルルクの丘に重なる、紀元前3000年頃から後500年頃まで繁栄した都市遺跡。ホメロスの叙事詩『イリアス』に描かれたトロイア戦争の舞台とされ、発掘で九つの時代の都市が層をなすことが確認された。
見どころ
トロイアVI期の傾斜城壁と城門
巨大な石を積んだ城壁は上へ向かってわずかに後退し、丘上の都市を守る。門へ延びる斜路と合わせて見ると、青銅器時代の防御技術と都市の規模を実感できる。
九つの都市が重なる発掘層
異なる方向へ延びる壁や基礎、土層の切れ目が、一つの丘に都市が何度も再建されたことを示す。伝説の都市を単一の年代に決めつけず、長い居住史として理解できる見どころ。
地理
遺跡はトルコ西部、ダーダネルス海峡に近いヒサルルクの丘にある。海峡とエーゲ海を結ぶ交通を見渡す高台に、城壁、門、街路、建物基礎が何層にも折り重なる。
現在見える遺構は一時代の都市ではなく、破壊と再建を繰り返した集落の断面である。斜めに立ち上がる厚い石造城壁や門の斜路と、その周囲に残る異なる年代の基礎群から、立地と都市構造の変化を比較できる。
歴史
トロイアでは紀元前3000年頃から後500年頃まで、都市が繰り返し築かれた。ホメロスの叙事詩『イリアス』に記されたトロイア戦争の舞台と伝えられ、文学上の伝説と考古学的な都市史が重なる場所となっている。
伝説を信じたドイツの考古学者ハインリヒ・シュリーマンは1873年に遺跡を発見し、世界的なセンセーションを巻き起こした。彼の死後も発掘は受け継がれ、九つの時代の都市遺跡が層をなすことが確認された。1998年、長期間の文化交流を示す遺跡であり、『イリアス』との結び付きももつことから、登録基準(ii)(iii)(vi)で世界文化遺産となった。
