概要
フランス南部プロヴァンス地方のアルルに残る、古代ローマから中世までの建造物群。円形闘技場、ローマ劇場、地下回廊、コンスタンティヌスの大浴場、サン・トロフィーム聖堂などが、ローマ都市がキリスト教都市へ変化した歩みを示す。
見どころ
2万人を収容した円形闘技場
紀元前90年頃に建てられたとされる大闘技場。二層のアーチが楕円を囲み、中世には内部に家屋や教会が設けられて要塞兼住居としても使われた。
サン・トロフィーム聖堂のタンパン
古代ローマの凱旋門を思わせる正面入口に、半円アーチと精緻な彫刻が重なる。タンパンの「最後の審判」は、ロマネスク彫刻が聖書の教えを伝えたことを示す。
地理
アルルはフランス南部プロヴァンス地方、ローヌ川河口と内陸部を結ぶ位置にあり、古代には商業拠点として発展した。都市内には、紀元前1世紀頃の円形闘技場、ローマ劇場、地下回廊、4世紀のコンスタンティヌスの大浴場やアリスカン墓地、11~12世紀に改築されたサン・トロフィーム聖堂と回廊が重なって残る。
ロマネスク様式は「ローマ風」を意味し、ローマ建築のバシリカを発展させた様式である。キリスト教の終末思想が広がった10世紀頃に栄え、石造りの厚い壁、小さな窓、半円アーチ構造の天井を特徴とする。聖書の教えを伝えるため、扉上の半円形のタンパンや柱頭には、聖書の場面や人物を表す彫刻が施された。
歴史
紀元前46年、カエサルによってローマ植民都市となったアルルは、ローヌ川河口と内陸を結ぶ商業都市として発展した。紀元前90年頃に建てられたとされる円形闘技場は約2万人を収容し、ローマ劇場や地下回廊とともに初期の繁栄を伝える。ローマ劇場は帝国衰退後に採石場となったが、「2人の未亡人」と呼ばれる2本の石柱と劇場の土台が残った。
4世紀にはアルルが初期キリスト教の重要都市となり、コンスタンティヌスの大浴場やアリスカン墓地が第2の黄金期を示す。大浴場には湯温調節、サウナ部屋、床暖房の設備があった。中世には円形闘技場の内部に家屋や教会がつくられ、要塞兼住居として利用された。
11~12世紀、聖トロフィムスに捧げられたサン・トロフィーム聖堂が改築され、フランスを代表するロマネスク建築となった。正面入口は古代ローマの凱旋門を模したとされ、タンパンには「最後の審判」が彫られている。1981年、登録基準(ii)(iv)で世界遺産に登録された。
