標高2,000m超の首都にイタリア合理主義を展開した初期モダニズム都市

アスマラ:アフリカのモダニズム都市

Asmara: A Modernist African City

乾いた高原の光の中で、翼のような庇と丸みを帯びた街角が軽やかに連なります。

アスマラ:アフリカのモダニズム都市のミニチュア

概要

エリトリアの首都アスマラは、標高2,000mを超える高地に築かれたモダニズム都市です。1890年代にイタリア植民地の前線基地として発展し、1935年以降はイタリア合理主義に基づく大規模な建設が進みました。政府機関、住宅、商業施設、宗教建築、映画館、ホテルまでを含み、初期モダニズムの都市計画がアフリカで用いられた重要例です。

  • エリトリア
  • 文化遺産
  • 2017年登録
  • 検定2級

見どころ

左右へ長い翼状の庇を張り出すアスマラの合理主義様式の給油所

翼を広げた合理主義建築

飛行機の翼のように長いコンクリート庇を張り出す給油所は、速度と機能を大胆な造形へ変えた街の象徴です。装飾に頼らず構造そのものを見せる合理主義の魅力を観察できます。

近代建築と教会塔、モスクのミナレット、シナゴーグのドームが並ぶアスマラの大通り

多様な都市機能が並ぶ大通り

大通りでは、曲面を使った商業建築や映画館、住宅の向こうに教会の塔、モスクのミナレット、シナゴーグのドームが重なります。計画都市の機能と信仰の多様性が一望できます。

地理

アスマラはエリトリアの首都で、標高2,000mを超える高原にあります。乾燥した澄んだ光の中、街路の軸線や区画に沿って、低層の合理主義建築と塔・ドームをもつ宗教建築が配置されます。政府、居住、商業、娯楽、宗教という多様な都市機能が、一つの計画都市の中で読み取れます。

登録基準(ii)は建築・技術・都市計画の発展における重要な価値観の交流を、基準(iv)は人類史の代表的段階を示す建築・技術・景観の顕著な見本を対象とします。アスマラはヨーロッパの初期モダニズムとイタリア合理主義をアフリカの高原都市へ適用した交流の証拠であり、20世紀前半の計画都市のまとまった見本です。

アスマラ:アフリカのモダニズム都市の風景

歴史

アスマラは1890年代、イタリア植民地の前線基地として発展しました。1935年以降、イタリア合理主義の手法に基づく大規模な建設計画が実行され、都市の姿が大きく整えられます。幾何学的で機能を重んじる建築が街路計画と結びつき、アフリカに初期モダニズム都市をつくる試みとなりました。

建設対象は政府機関や住宅、商業施設だけではありません。教会、モスク、シナゴーグ、映画館、ホテルも建てられ、行政・生活・信仰・娯楽を含む都市全体が計画されました。植民地支配の背景を切り離さずに理解しながら、建築が現在の首都の生活に受け継がれていることも、この遺産を読む重要な視点です。

2017年、異なる地域間の建築・都市計画上の交流を示す基準(ii)と、20世紀初頭のモダニズム都市の顕著な見本として基準(iv)が認められ、文化遺産に登録されました。

参考

  • UNESCOAsmara: A Modernist African City
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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