概要
イラン南部の砂漠にある、紀元前からの歴史をもつオアシス都市とその文化的景観。7~11世紀に交易ルートの要所として繁栄し、約2kmの城壁が囲む三重構造の要塞都市とアルゲ・バム(バム城塞)を残す。2003年の大地震後、修復・保全が進められた。
見どころ
三重構造のアルゲ・バム
土色の塔と城壁が層をなすアルゲ・バムは、約2kmの外周をもつ要塞都市の象徴。城塞、市街、防御線が重なる構成から、交易の要所を守った都市計画が読み取れる。
地震からの修復と保全
2003年の大地震で城塞と街は大きく崩れた。土の建築の質感と歴史的構造を保ちながら進められた修復は、2013年の危機遺産リスト脱出へつながった。
地理
バムはイラン南部の乾燥した砂漠に成立したオアシス都市である。城壁に囲まれた市街と周囲の景観が、厳しい自然環境のなかで交易と定住を成り立たせた長い歴史を伝える。
都市の中心となるアルゲ・バム(バム城塞)は、約2kmに及ぶ城壁に囲まれた要塞都市の中核をなす。防御線を幾重にも重ねた三重構造によって、砂漠の地平に城壁、塔、市街が一体となる景観をつくっている。
歴史
バムには紀元前から続く長い歴史があり、7~11世紀には東西を結ぶ交易ルートの要所として繁栄した。9世紀に築かれたアルゲ・バムを中心に、約2kmの城壁で囲んだ三重構造の要塞都市が発達したが、18世紀には廃墟となった。
2003年の大地震で街は甚大な被害を受け、アルゲ・バムも崩壊した。翌2004年、登録基準(ii)(iii)(iv)(v)で世界遺産に登録されると同時に、重大な危険に対応する危機遺産リストにも記載された。(ii)は建築・技術・記念碑・都市計画・景観設計の発展における重要な価値観の交流、(iii)は現存または消滅した文化的伝統・文明を伝える独特な証拠、(iv)は人類史の代表的段階を示す建築様式・建築技術・科学技術の総合体・景観の顕著な見本、(v)は文化を代表する伝統的集落・土地利用・海上利用や、不可逆な変化で危機にある人類と環境の交流の顕著な見本を評価する。
危機遺産リストには、自然災害、紛争・戦争、都市・観光開発、密猟、違法伐採など、重大かつ明確な危険にさらされた遺産が記載される。最初の危機遺産も1979年、地震被害を受けたコトルの文化歴史地域と自然だった。記載後は保有国に保全計画の作成と実行が求められ、世界遺産基金、各国政府、民間機関などから財政的・技術的援助を受けられる。バムでは修復・保全計画が認められ、2013年に危機遺産リストから外れた。登録範囲は2007年に拡大されている。
