概要
マニラ、サンタ・マリア、パオアイ、ミアガオに残るスペイン植民地時代の4教会です。ヨーロッパのバロックを中国系・フィリピン系の職人が地域の素材と技術で再解釈し、地震や台風に耐える低い天井、厚い壁、強大な控え壁を備えた地震のバロックを生み出しました。
見どころ
巨大な控え壁を備えるパオアイ教会
パオアイのサン・アグスティン教会では、側壁から段状の巨大な控え壁が張り出します。装飾的なバロックと地震への構造的工夫が一体になった「地震のバロック」を、外観から最も明快に観察できます。
最古の聖堂、マニラのサン・アグスティン
フィリピン最古とされる石造聖堂は、植民地時代の布教と建築文化の出発点を伝えます。低く堅固な外形と華やかな内部空間の対照に、欧州様式を現地化した職人たちの技術が表れます。
地理
4つの教会はフィリピンの複数の島・地域に分散しています。マニラのサン・アグスティン聖堂、ルソン島北部サンタ・マリアのヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アスンシオン教会、パオアイのサン・アグスティン教会、パナイ島ミアガオのサント・トマス・デ・ビリャヌエバ教会が、シリアルな構成資産として登録されています。
台風と地震の多い風土に適応するため、建物の重心を抑える低い天井、分厚い石壁、外側へ大きく張り出す控え壁などが発達しました。欧州のバロック様式をそのまま移すのではなく、現地と中国系の職人が材料、構法、装飾を再解釈した点が登録基準(ii)(iv)の価値を支えます。
歴史
スペイン植民地統治下の16世紀後半以降、カトリック布教の拠点として教会建築が各地に築かれました。4教会のうちマニラのサン・アグスティン聖堂はフィリピン最古の聖堂とされます。度重なる地震や台風への対応から、バロックの意匠と耐災害構造が結びついた地震のバロックが形成されました。
1993年に4教会が登録基準(ii)(iv)で世界文化遺産に登録され、2013年にはマニラの構成資産について登録範囲が変更されました。
