概要
マーシャル諸島の美しい環礁に、米国が行った23回の核実験の痕跡が残る文化遺産です。海底の沈没船、水爆「ブラボー」が残した直径約2kmのクレーター、住民と生態系への被害が、核兵器の破壊力を伝える物的証拠として評価されました。マーシャル諸島初の世界遺産です。
見どころ
ラグーンの海底に眠る沈没船
核実験で沈んだ船体が青い海の底に残ります。兵器実験の物的証拠であると同時に、海中景観そのものが20世紀史の記録です。
直径約2kmのブラボー・クレーター
水爆ブラボーが珊瑚礁に刻んだ巨大な円形クレーターです。環礁の自然美と核実験の破壊力を同じ視界で突きつけます。
地理
ビキニ環礁は青いラグーンを珊瑚礁と島々が囲む環礁です。しかし海底には核実験で沈没した船が眠り、水爆ブラボーによる直径約2kmのブラボー・クレーターが残ります。上空から見える環礁の自然美と、水面下や海底に刻まれた破壊の痕跡が強烈な対照を成します。
核実験の累積破壊力は広島に投下された原爆のおよそ7,000倍に及び、自然環境、住民、生態系に甚大な被害を与えました。日本のマグロ漁船第五福竜丸もブラボー水爆実験で被曝し、被害は環礁の外にも及びました。
歴史
第二次世界大戦直後の1946〜1958年、米国はビキニ環礁を含む地域で67回の核実験を行い、このうち23回がビキニ環礁で実施されました。その結果、沈没船群やブラボー・クレーターが残り、住民の生活と環境、生態系に長期的な影響を与えました。
2010年、核実験施設とその痕跡を20世紀科学技術の代表的段階の顕著な見本とする基準(iv)、核時代の出来事と直接結びつく基準(vi)で世界遺産に登録されました。戦争・紛争・人種差別・奴隷貿易など人類の過ちを記憶し、再発防止の教訓とする遺産は通称負の遺産と呼ばれ、原爆ドームやゴレ島などが例に挙げられます。ただし世界遺産条約上の正式な分類ではなく、特定の遺産を区分する基準や対象時代も確立していません。基準(vi)だけで登録される場合もありますが、ビキニ環礁は(iv)と併用されています。
