概要
インドネシアのジャワ島中部で、シャイレンドラ朝が8~9世紀頃に築いた世界最大規模の仏教遺跡です。自然の丘を包む約115m四方の基壇、5層の方形壇、3層の円形壇、頂上の大ストゥーパが、大乗仏教の「三界」を表す立体曼荼羅を形づくります。関連するムンドゥ寺院、パウォン寺院とともに寺院群を構成します。
見どころ
物語を読みながら登る浮彫回廊
5層の方形壇を巡る回廊には、仏教説話や当時の暮らしを刻んだ浮彫が続きます。石段を上がりながら物語をたどる動線が、悟りへの道を身体で感じさせます。
仏像を包む72基の小ストゥーパ
3層の円形壇には、仏像を納めた透かし彫りの釣り鐘形ストゥーパが同心円状に並びます。中央大ストゥーパへ収束する幾何学は、三界の最上部を示す静かな立体曼荼羅です。
地理
ジャワ島中部、火山に囲まれたケドゥ盆地に位置します。ボロブドゥール寺院は自然の丘を利用した巨大な石造建築で、最下部の約115m四方の基壇から、5層の方形壇、3層の円形壇へと段階的に高くなります。方形壇の回廊壁と欄楯には総面積約2,500㎡に及ぶ精緻な浮彫が連なります。
上部の円形壇には仏像を納めた72基の透かし彫りの小ストゥーパが並び、中心に巨大な釣り鐘形ストゥーパがそびえます。下部から上部へ進む構造は、欲望の世界、形ある世界、形を超えた世界という大乗仏教の「三界」を表すと考えられ、基壇・小ストゥーパ・祠堂を積み重ねた東南アジア独特の立体曼荼羅です。
歴史
8~9世紀頃、ジャワ島中部にマレー系の人々が築いたシャイレンドラ朝の時代に、ボロブドゥール寺院と関連寺院群が造営されました。回廊を右回りに巡りながら浮彫を読み、次の壇へ登る体験そのものが、悟りへ向かう仏教の道筋を空間化しています。
長く火山灰や植生に覆われたのち再発見され、20世紀には崩壊や排水不良が深刻になりました。1級教材が示す1968年のUNESCOによる国際救済活動は、ヌビア遺跡群やヴェネツィアと並んで世界遺産条約成立の機運を高めた事業です。1970年代からUNESCOの協力による大規模修復が進められ、解体・補強・排水整備を経て再生しました。1991年、建築・文化交流・宗教的価値により登録基準(i)(ii)(vi)で世界文化遺産に登録されました。
