現存最古の仏塔が伝える初期仏教の巡礼地

サーンチーの仏教遺跡

Buddhist Monuments at Sanchi

丘の上の半球形ストゥーパを四つの門が囲み、像を結ぶ前のブッダの物語を石の象徴で語り続ける。

サーンチーの仏教遺跡のミニチュア

概要

インド中部の丘に、紀元前3世紀から後12世紀まで築かれたストゥーパ、祠堂、僧院などが集まる初期仏教の巡礼地。アショーカ王の仏塔を核とする第1ストゥーパと、精緻な浮彫を施した四方のトラナが仏教美術と信仰の発展を伝える。

  • インド
  • 文化遺産
  • 1989年登録
  • 検定2級

見どころ

サーンチー第1ストゥーパの前に立つ精緻な浮彫を施した石造トラナ

物語を刻む四方のトラナ

第1ストゥーパの東西南北に立つ石門。三本の横梁と二本の柱を仏伝や本生譚、象、獅子、蓮華などの浮彫が埋め、仏像成立以前のブッダを象徴で表した初期仏教美術を間近に見られる。

二層の円形回廊と四方のトラナに囲まれたサーンチー第1ストゥーパ

半球を巡る第1ストゥーパ

高さ約16m、基壇直径約36mの覆鉢を二層の回廊と石柵が包む。アショーカ王の仏塔を核に拡張された姿は、聖なる中心を時計回りに巡る礼拝と、ストゥーパ建築の基本構成を体感させる。

地理

インド中部マディヤ・プラデーシュ州、ボーパールから約40km離れた平原を見下ろす丘に位置する。保存状態の異なる3基の大型ストゥーパを中心に、石柱、祠堂、寺院、僧院、宮殿状の遺構がまとまり、紀元前3世紀から後12世紀まで続いた仏教聖域の空間を残す。

最古の第1ストゥーパは、高さ約16m、基壇直径約36m。地面から一段上げた基壇上に半球状の覆鉢を据える、現存最古のストゥーパである。周囲には礼拝者が巡る二層の回廊と石柵がめぐり、東西南北の4方向に大きなトラナが開く。第3ストゥーパもドーム状で、トラナが残されている。

サーンチーの仏教遺跡の風景

歴史

紀元前3世紀、マウリヤ朝第3代国王アショーカ王はインドのほぼ全域を統一し、仏教に深く帰依した。第1ストゥーパは、王が各地に築いたと伝わる8万4,000基のストゥーパの一つを核とする。基本部分はこの時代に造られ、紀元前2世紀末に現在へつながる大規模な姿へ拡張された。

四方のトラナには、象牙彫刻を担った職人たちが浮彫を施したとされ、シッダールタ太子が城を出る場面など仏伝や本生譚が刻まれている。仏像がまだ造られ始める前だったため、ブッダは法輪、菩提樹、足跡、空の玉座などによって象徴的に表された。聖域はインド仏教の一大中心地として12世紀まで機能した。

その後は長く廃墟となり、木々や草に覆われていたが、19世紀にイギリスのテイラー将軍が発見した。20世紀初頭の本格調査により、長期にわたる仏教繁栄を示す中心地としての価値が明らかになり、1989年に登録基準(i)(ii)(iii)(iv)(vi)で世界遺産へ登録された。

参考

  • UNESCOBuddhist Monuments at Sanchi
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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