フィンボスの固有植物と進化の営みを守る南アフリカの保護地域群

ケープ植物区保護地域群

Cape Floral Region Protected Areas

乾いた夏と山火事を生き抜く花々が、ケープの山並みを色鮮やかに染める。

ケープ植物区保護地域群のミニチュア

概要

南アフリカ南端のケープ地方に広がる13の保護区からなる自然遺産。細い針状の葉をもつ灌木植生フィンボスを中心に約9,000種の植物が確認され、その69%が固有種である。山火事への適応を含む進化の過程と、絶滅危惧種を含む生物多様性が評価された。

  • 南アフリカ
  • 自然遺産
  • 2004年登録
  • 検定2級

見どころ

ケープ地方の山並みに広がる花咲くフィンボス植生

花咲くフィンボス

細い葉をもつ低木とプロテア類などが織りなすケープ地方固有の植生。約9,000種の植物の69%が固有種という、限られた面積に凝縮された多様性を観察できる。

山火事後に新芽と花が戻るケープ地方のフィンボス

山火事とともに更新する生態系

乾燥する夏に起こる周期的な火災は、フィンボスを破壊するだけでなく、高温で発芽や種子散布を始める植物の世代交代を促す。進化の過程を今も見られる景観である。

地理

アフリカ南端のケープ地方、クランウィリアムからポートエリザベスまで幅100〜200kmの帯状に広がる。2015年の範囲拡大後は13の国立公園、自然保護区、原生自然地域、国有林、山地集水域などで構成され、登録範囲は100万haを超える。一方でアフリカ大陸全体に占める面積は0.5%以下にすぎない。

この限られた地域に、アフリカ大陸の植物のおよそ20%に当たる約9,000種が生育し、うち69%が固有種である。高い生物多様性をもちながら存続が危ぶまれるホットスポットの代表例であり、固有種・絶滅危惧種の豊かさが際立つ。灌木植生はフィンボスと呼ばれ、細い針状の葉に由来する名をもち、ケープ植物区のおよそ半分を占める。

地中海性気候のため夏は乾燥し、山火事が起きやすい。フィンボスの植物には、高温を受けて初めて発芽したり種子を散布したりするものがあり、周期的な火災を生態系の更新に利用する。こうした現在進行中の生態学的・生物学的・進化的過程が登録基準(ix)、植物相の多様性が登録基準(x)で評価されている。

ケープ植物区保護地域群の風景

歴史

ケープ半島は、ヴァスコ・ダ・ガマが1497年に喜望峰経由でインド航路を開拓した歴史でも知られる。植物相については、長期にわたる地理的隔離と地中海性気候、周期的な山火事が、世界でも特に高い固有性をもつフィンボスの進化を促した。

2004年、8つの保護区が「ケープ植物区保護地域群」として世界遺産に登録された。2015年に登録範囲が拡大され、構成資産は13の保護区となった。拡大によって国立公園だけでなく自然保護区、原生自然地域、国有林、山地集水域まで含む、より連続性の高い保全網となっている。

参考

  • UNESCOCape Floral Region Protected Areas
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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