イスラムとキリスト教、大西洋世界が交差する三つの記念建造物

セビーリャの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館

Cathedral, Alcázar and Archivo de Indias in Seville

ヒラルダの塔が見下ろす三つの建造物には、イスラム都市から大西洋世界の玄関へ変わったセビーリャの記憶が重なる。

セビーリャの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館のミニチュア

概要

セビーリャ中心部に並ぶ大聖堂、王宮アルカサル、インディアス古文書館からなる文化遺産。旧ミナレットを転用したヒラルダの塔、四様式が混在する王宮、植民地文書の集積が、ヨーロッパとイスラム、大西洋世界の交流を物語る。

  • スペイン
  • 文化遺産
  • 1987年登録
  • 検定2級

見どころ

セビーリャ大聖堂と旧ミナレットを転用したヒラルダの塔

旧ミナレットに鐘楼を重ねたヒラルダの塔

モスクのミナレットを転用した四角い塔に、キリスト教時代の鐘楼を重ねたセビーリャの象徴。隣の巨大な五廊式ゴシック大聖堂と並び、イスラムとヨーロッパの融合を端的に示す。

ムデハル様式の装飾と水盤が美しいセビーリャのアルカサル中庭

四つの様式が交差するアルカサル

イスラムの装飾、キリスト教徒が発展させたムデハル、ゴシック、ルネサンスが折り重なる王宮。水盤を囲む中庭と繊細な漆喰・タイル装飾に、文化交流の歴史が凝縮されている。

地理

スペイン南西部アンダルシア州セビーリャの中心部に、大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館の三つが近接して建つ。これらはイスラム勢力下の都市基盤、キリスト教徒によるレコンキスタ後の王都、さらにアメリカ大陸との交易を統括した近世スペインという、異なる時代の中心機能を一つの記念建造物群として伝える。

大聖堂は五廊式の巨大なゴシック聖堂で、ヨーロッパ最大のゴシック建築とされる。隣接するヒラルダの塔は旧モスクのミナレットを鐘楼へ転用したもので、イスラム建築の傑作にキリスト教時代の上部が重なる。アルカサルはアラビア語で「宮殿」を意味し、幾度もの改築によりイスラム、ムデハル、ゴシック、ルネサンスの四様式が共存する。

セビーリャの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館の風景

歴史

セビーリャは8~12世紀にイスラム勢力の支配を受け、モスクや宮殿を中心とする都市文化を育んだ。13世紀、キリスト教徒がレコンキスタ(国土回復運動)で奪還すると、既存のイスラム建築を壊し尽くすのではなく、転用・改築しながら新しい王都を形づくった。アルカサルはスペイン王の宮殿となり、イスラム、ムデハル、ゴシック、ルネサンスという四つの様式が重なる。

大聖堂はモスクを改装・建て替えて成立し、旧ミナレットはヒラルダの塔として残された。大聖堂内部にはクリストファー・コロンブスの墓がある。16世紀末に商品取引所として建てられた建物は、のちにインディアス古文書館となり、スペインのアメリカ植民地統治と交易に関する貴重な文書を収蔵する。イスラム期のアルモハド朝文明とキリスト教アンダルシア、大西洋世界の歴史を結ぶ三建造物は1987年に登録され、2010年に登録範囲が変更された。

参考

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