概要
メキシコ革命後の近代化運動を背景に、マリオ・パニとエンリケ・デル・モラルの設計で1952年に完成した大学都市です。60名を超える建築家・芸術家が、現代建築と都市計画にメキシコの伝統文化を統合し、教育施設だけでなく博物館、映画館、スーパー、ラジオ局まで備える巨大キャンパスを形づくりました。2007年、登録基準(i)(ii)(iv)で世界文化遺産となりました。
見どころ
中央図書館を覆うJ・オゴルマンの壁画
直方体の図書館を包む巨大モザイクには、先住民文化とメキシコ史が重層的に表現されています。建築そのものを公共の物語へ変えた、壁画運動とモダニズムの融合を間近に見られます。
講義棟と広場がつくる大学都市
水平屋根の講義棟、火山石の壁、連続する通路と緑地が、教育・文化・生活を結びます。60名を超える専門家が協働した都市計画を、建物単体ではなく空間の連続として味わうのが見どころです。
地理
キャンパスはメキシコ合衆国の首都メキシコシティにあります。低層の講義棟、図書館、広場、緑地、文化施設、生活施設が歩行空間で結ばれ、大学でありながら都市として自立する構成をもっています。講義棟も登録された建築群の重要な一部です。
建物の水平線や開放的な公共空間は20世紀のモダニズムを示す一方、火山石や壁画、先住民文化の図像が土地の歴史を刻みます。国際的な現代建築をそのまま移すのではなく、メキシコ固有の材料・芸術・社会的理想と結びつけた点が、この大学都市の大きな特色です。
歴史
1920〜1930年代のメキシコ革命期には、革命の意義とメキシコ人のアイデンティティを民衆に伝える壁画運動が展開しました。その精神を受け継ぎ、J・オゴルマン、D・リベラ、A・シケイロスらが、アステカなどの先住民文化やメキシコ史を主題とする、社会的メッセージの強い壁画を大学施設に制作しました。画家・建築家J・オゴルマン(1905〜1982年)は、とりわけ中央図書館を覆う壁画で知られます。
1952年、革命後の近代国家を担う教育拠点として中央大学都市キャンパスが完成しました。基準(i)は人類の創造的資質を示す傑作、基準(ii)は建築・都市計画などにおける価値観の重要な交流、基準(iv)は人類史の代表的段階を示す建築・技術・景観の顕著な見本を評価します。本遺産では、建築・都市計画・造形芸術を協働させ、国際的モダニズムとメキシコの伝統を統合した成果が、この三つの基準に認められました。登録基準(i)〜(vi)のいずれかを満たす遺産は文化遺産に分類されます。
