概要
標高約2,850m、アンデスの尾根に抱かれたエクアドルの首都キト。その旧市街は、インカ都市の跡地にスペインが築いた植民都市の姿を、驚くほどそのまま今に伝える。白壁の教会と修道院がひしめく街並みは、ヨーロッパと先住民の美意識が溶け合った「キト派」芸術の宝庫でもある。
見どころ
白壁の迷宮
旧市街の坂道と広場には、白いファサード、瓦屋根、鐘楼が折り重なる。都市の密度がそのまま歴史の地層になっている。
黄金の内側
ラ・コンパニーア聖堂の装飾は、スペイン、イタリア、ムーア、フランドル、先住民芸術が混ざり合うキト派バロックの象徴。
地理
赤道の真下にありながら、キトは涼しい。街がアンデス山脈の中腹、標高約2,850mという高地に築かれているからだ。首都としては世界でも指折りの高さで、火山と峰々に囲まれた南北に細長い盆地に、街並みが背骨のように伸びている。
歴史
この街の物語は、先住民のキトス族が築いた集落から始まる。15世紀にはインカ帝国の版図へ組み込まれ、都クスコに次ぐインカ第2の都市として栄えた。ところが16世紀、スペイン人の侵略を受けてキトは焼き払われ、いったんは廃墟と化してしまう。
その焼け跡に新しい都市を築いたのが、征服者であるスペイン人たちだった。彼らは競うように教会や修道院を建て、キトは南米大陸におけるキリスト教布教の一大拠点となる。旧市街にはいまも、16〜18世紀に建てられた教会堂や修道院が30以上も残る。ヨーロッパのバロックに、イスラム由来の幾何学装飾を特徴とするスペインのムデハル様式が溶け合い、この地ならではの荘厳な宗教建築が花開いた。1917年の地震をくぐり抜けてもなお、旧市街はラテンアメリカ有数の保存状態を保っている。
