概要
マリのニジェール川流域に、標高差約500mの断崖が約200km続く複合遺産です。15世紀初頭頃から移り住んだドゴン族は、断崖に住居、円錐屋根の穀物倉、祭壇、聖所、集会所トグナを築き、神話と祖先信仰に根ざす文化を継承しています。
見どころ
断崖に抱かれたドゴン族の集落
高さ約500mの断崖の岩棚と麓に、土造りの住居と円錐屋根の穀物倉が重なります。壮大な自然を防壁と生活基盤に変えた、複合遺産ならではの景観です。
長老が語り合う低屋根のトグナ
集落北端のトグナは、厚い低屋根を柱で支えた共同の集会所です。周囲の穀物倉、祭壇、聖所とともに、アンマ神の神話に基づく集落秩序を体感できます。
地理
マリ中部のニジェール川流域に位置し、砂岩の台地の縁を標高差約500mの断崖が約200kmにわたって走ります。崖上の台地、急斜面、崖下の砂地が生み出す壮大な景観が、登録基準(vii)の自然美を示します。
ドゴン族の集落は、断崖の岩棚や麓の地形を生かして形成されました。土壁の住居、円錐形屋根の穀物倉、祭壇、聖所、低い屋根をもつ集会所トグナが密集し、自然の防壁と限られた土地を巧みに利用する伝統的居住の形を伝えます。地質・考古・民族学の価値が一つの景観に重なる場所です。
歴史
15世紀初頭頃から、西アフリカでの奴隷狩りやイスラム化を逃れたドゴン族がこの断崖地帯へ移り住みました。彼らは自然の要害を利用しながら独特の集落を形成し、仮面、祭礼、儀礼、祖先信仰などの伝統を現在まで受け継いでいます。
集落は、頭を北へ向けて横たわる人間の身体に見立てて家屋を配置します。この空間秩序は創造神アンマ神を信仰するドゴン族の神話に由来し、北端には長老たちが話し合う集会所トグナが置かれます。断崖に沿って並ぶ円錐屋根の穀物倉も、暮らしと信仰が結びついた景観の要素です。1989年、伝統的集落・土地利用を示す登録基準(v)と優れた自然美を示す(vii)の双方が認められ、複合遺産として登録されました。
