テンプル騎士団から大航海時代へ続く建築史を刻む修道院

トマールのキリスト騎士団の修道院

Convent of Christ in Tomar

騎士団の要塞に、何世紀もの建築様式と大航海時代の海の記憶が重なっている。

トマールのキリスト騎士団の修道院のミニチュア

概要

ポルトガル中央部トマールに残る、テンプル騎士団からキリスト騎士団へ受け継がれた修道院。12世紀の城塞的な建築を核に、初期ムデハル、ゴシック、ルネサンス、マヌエルの各様式が融合する。エンリケ航海王子が団長を務めた15世紀に最盛期を迎え、大航海時代へ開かれたポルトガルの歴史も伝える。

  • ポルトガル
  • 文化遺産
  • 1983年登録
  • 検定2級

見どころ

ロープや植物の精緻な石彫に囲まれたトマール修道院のマヌエル様式の大窓

サンタ・バルバラ回廊の3つの大窓

サンタ・バルバラ回廊に並ぶ3つの大窓は、ロープや植物を思わせる豪華な石彫で覆われる。ポルトガルの大航海時代を象徴するマヌエル様式の傑作である。

円形の中核部と回廊に複数の建築様式が重なるトマールのキリスト騎士団の修道院

騎士団の歴史を刻む建築様式の重層

12世紀のテンプル騎士団の建築を核に、初期ムデハル、ゴシック、ルネサンス、マヌエルの各様式が増改築で重なった姿を見比べられる。

地理

ポルトガル中央部、サンタレン地方の都市トマールにある修道院で、丘の上に城塞を思わせる石造建築群が広がる。12世紀のテンプル騎士団による中核部を基礎に、時代ごとの増改築が連続したため、初期ムデハル、ゴシック、ルネサンス、マヌエルの各様式が一つの複合体に重なっている。

なかでもサンタ・バルバラ回廊の3つの大窓には、ロープや植物などを精緻に刻むマヌエル様式の装飾が集中する。イスラム文化の影響を受けた初期ムデハル様式から、ポルトガルの海外進出を象徴するマヌエル様式までを同じ場所でたどれることが、修道院の空間的な特色である。

トマールのキリスト騎士団の修道院の風景

歴史

12世紀半ば、ポルトガル中央部のこの地を与えられたテンプル騎士団が修道院を築いた。レコンキスタを象徴する城塞的な施設として始まった建築には、イスラム文化の影響を受けた初期ムデハル様式も取り込まれた。

テンプル騎士団が解散した14世紀、修道院はキリスト騎士団へ受け継がれ、1344年に正式に移管された。15世紀にエンリケ航海王子が団長に就くと最盛期を迎え、ポルトガルが他文明へ開かれていく大航海時代の象徴へ意味を変えていった。

長期の増改築はゴシック、ルネサンス、マヌエルの各様式を加えた。とりわけサンタ・バルバラ回廊の3つの大窓の彫刻はマヌエル様式の傑作とされる。1983年、建築芸術の傑作であることと、騎士団・大航海時代の歴史との深い関連から、登録基準(i)(vi)で世界遺産に登録された。

参考

  • UNESCOConvent of Christ in Tomar
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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