白亜紀の恐竜化石を抱くアルバータのバッドランド

ダイナソール州立公園

Dinosaur Provincial Park

雨と川が削った乾いた大地のひだをたどると、7500万年前の巨大な骨が姿を現す。

ダイナソール州立公園のミニチュア

概要

カナダ・アルバータ州の乾燥地に広がるバッドランドと、世界有数の恐竜化石産地を守る自然遺産。白亜紀後期の地層から、ティラノサウルス類やトリケラトプスなど10科44種を含む多彩な化石が発見され、恐竜時代の生態系を比較・年代研究できる稀有な場所である。

  • カナダ
  • 自然遺産
  • 1979年登録
  • 検定2級

見どころ

ダイナソール州立公園に連なる乾燥したバッドランドの谷と岩柱

大地のひだが連なるバッドランド

雨水と河川が半乾燥の地層を削り、谷や急斜面、岩柱を刻んだ。樹木の乏しい荒涼とした地形そのものが、地下の化石層を露出させ続けている。

白亜紀の地層から慎重に発掘される大型恐竜の骨格化石

白亜紀の恐竜世界を伝える化石層

ティラノサウルス類、トリケラトプス、ドロマエオサウルスなど10科44種の恐竜が発見された。骨格だけでなく周囲の生物化石も残り、当時の生態系を立体的に復元できる。

地理

カナダ南西部、カナディアン・ロッキーの南東に位置するアルバータ州の公園で、世界遺産の登録範囲は約7,825haである。乾燥・半乾燥の大地を河川と雨水が浸食し、樹木がほとんど育たない谷、切り立つ斜面、尖塔状の岩柱が複雑に連なるバッドランド(悪地)の景観をつくった。約26kmにわたる河畔環境も残り、むき出しになった地層と緑の川辺が鋭い対照を見せる。

地表には中生代白亜紀後期、約7,500万~7,700万年前の地層が広く露出する。白亜紀は約1億4,300万年前から6,500万年前まで続いた地質時代で、この地層からはティラノサウルス類、トリケラトプス、ドロマエオサウルスなど10科44種の恐竜が確認された。350点を超える関節のつながった標本と150体以上の完全骨格に加え、恐竜以外の化石もまとまって残り、白亜紀後期の生態系全体を研究できる。

ダイナソール州立公園の風景

歴史

1884年、考古学者・地質学者のジョセフ・バール・ティレルが、この地域で肉食恐竜アルバートサウルスの頭蓋骨を発見した。その後の調査で多種多様な恐竜化石が次々に見つかり、「爬虫類の時代」を代表する世界的な化石産地として重要性が確立された。ティラノサウルスは白亜紀の北アメリカに生息した巨大肉食恐竜で、体長10~14m、体重約7tに達した。

1979年、浸食がつくるバッドランドの際立った景観と、恐竜進化・白亜紀の古環境を解明する化石記録が評価され、登録基準(vii)(viii)で世界自然遺産となった。1992年には約2,033haが追加され、現在の登録範囲は約7,825haとなった。化石の採集・持ち出しと、特に脆弱な区域への自由な立ち入りは厳しく制限され、化石が地層中に残る状況そのものも含めて保護されている。

参考

  • UNESCODinosaur Provincial Park
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

公開日: 最終更新: