概要
イタリア北東部ラヴェンナに残る、5~6世紀の聖堂・霊廟・洗礼堂8件からなる文化遺産。西ローマ帝国、東ゴート王国、ビザンツ帝国の拠点となった都市で、ローマ建築と東方文化を結びつけたビザンツ様式、とりわけ精緻なモザイクが発展した。
見どころ
サン・ヴィターレ聖堂のモザイク内陣
八角形の集中式聖堂の内陣を、金地のモザイクと色大理石が覆う。ユスティニアヌス1世と皇后テオドラの像を含む精密な装飾は、6世紀ビザンツ美術の到達点を伝える。
ガッラ・プラチディア霊廟の星空
小さく質素なレンガ建築の内部に入ると、濃紺の天井へ無数の金色の星と十字架が広がる。外観と内部の劇的な対照を、5世紀のモザイクが最も親密なスケールで示す。
地理
ラヴェンナはフィレンツェの北東約100km、アドリア海に近いイタリア北東部エミリア=ロマーニャ州の平野にある。構成資産は市街と郊外に点在し、聖堂、霊廟、洗礼堂、礼拝堂という異なる役割の建築を通して、5~6世紀の宗教都市の姿を伝える。
ビザンツ様式は、アナトリア半島を中心としたビザンツ帝国で栄え、6世紀頃に最盛期を迎えた。ローマのバシリカ式聖堂と東方の集中式平面やドームを組み合わせ、内部を色大理石と色ガラスのモザイクで満たすのが特徴である。簡素なレンガの外観と、光を受けて輝く豪華な内部との対照がラヴェンナ建築の大きな特色で、この表現はのちのキリスト教建築だけでなくイスラム建築にも影響を与えた。
歴史
395年にキリスト教をローマ帝国の国教としたテオドシウス1世が死去し、帝国が東西に分かれた。西ローマ皇帝ホノリウスは402年に首都をラヴェンナへ移し、5世紀の都市は西ローマ帝国の政治と信仰の中心として栄えた。その後はゲルマン系諸勢力と東ゴート王テオドリックの支配を受け、宗派や支配者の違いを映す建築が加わった。
6世紀、ラヴェンナはビザンツ帝国のイタリア統治における重要拠点となる。ユスティニアヌス1世と皇后テオドラの時代に繁栄し、547年に奉献されたサン・ヴィターレ聖堂には、皇帝夫妻の行列を含むモザイク美術の粋が残された。八角形平面の集中式聖堂と曲線文様を多用した内陣は、ローマとビザンツの文化が交わる都市の歴史を視覚化している。1996年、5~6世紀の8建造物が世界遺産に登録された。
