概要
トルコ西部、かつてカイストロス川河口に栄えた港湾都市遺跡。海岸線の後退に合わせて移動したヘレニズム・ローマ時代の都市、セルシウス図書館や大劇場、アルテミス神殿、聖母マリアの家が、古代都市と巡礼地の長い歴史を伝える。
見どころ
セルシウス図書館
柱と彫像の壁龕が重なる壮麗な正面が残る、ローマ帝国時代のエフェソスを象徴する建築。大理石の街路とあわせて、古代都市の規模と洗練を伝える。
巨大なローマ劇場
斜面を利用した半円形の客席が古代港へ向けて開く大劇場。都市の公共生活を支えた建築であり、港湾都市エフェソスの人口と繁栄の大きさを実感できる。
地理
トルコ西部、かつてのカイストロス川河口に位置する。河川の土砂によって海岸線が西へ後退するたび、ヘレニズム時代とローマ時代の都市は新たな位置へ移り、その連続する都市層が遺跡として残った。
ローマ帝国時代の都市には、セルシウス図書館、巨大なローマ劇場、大理石の街路などの公共建築が残る。海へ続く水路と港湾盆地も備え、エフェソスが計画的に築かれたローマ港湾都市だったことを示す。市街から離れたアルテミス神殿跡と、約7km先の聖母マリアの家まで、異なる時代と信仰の巡礼地を含む広域の遺産である。
歴史
エフェソスはヘレニズム時代からローマ帝国時代にかけて、古代地中海を代表する港湾都市として繁栄した。ローマ帝国時代にはセルシウス図書館や大劇場が築かれた。アルテミス神殿は、紀元前2世紀にビザンティウムのフィロンが書いたとされる「世界の7つの景観」、すなわち「世界の七不思議」の一つに数えられ、地中海各地から巡礼者を集めた。
5世紀以降は、聖母マリアが余生を送ったと伝えられる聖母マリアの家がキリスト教の主要な巡礼地となった。8世紀にアラブ人の侵略を受けるまで長期にわたり地中海都市の中心であり続けた。ヘレニズム・ローマ文明とその文化的伝統を伝える独特な証拠であることが登録基準(iii)、ローマ港湾都市という人類史の代表的段階を示す建築・技術・景観の顕著な見本であることが(iv)、アルテミス信仰とキリスト教巡礼に直接・実質的に関連することが(vi)で評価され、2015年に世界遺産に登録された。
