歴代ムガル皇帝が磨き上げた城塞宮殿と三段の泉水庭園

ラホール城とシャーラマール庭園

Fort and Shalamar Gardens in Lahore

鏡のモザイクが光る宮殿から、噴水が連なる三つのテラスへ、ムガル王朝の美意識が流れる。

ラホール城とシャーラマール庭園のミニチュア

概要

パキスタン北東部ラホールに残るムガル帝国最盛期の二つの傑作。歴代皇帝が増改築したラホール城には赤砂岩と白大理石の宮殿・モスクが集まり、郊外のシャーラマール庭園では三段のテラスを水路、噴水、池、あずまやが結ぶ。

  • パキスタン
  • 文化遺産
  • 1981年登録
  • 検定2級

見どころ

赤砂岩の城壁と白い楼門がそびえるラホール城のアーラムギーリー門

ラホール城のアーラムギーリー門

赤砂岩の城壁に白い楼門がそびえるラホール城の象徴。城内の白大理石宮殿、40本柱の間、真珠のモスク、シーシュ・マハルへと、歴代皇帝の増改築の歴史を導く。

水路と噴水が三つの段状テラスを結ぶラホールのシャーラマール庭園

三段テラスのシャーラマール庭園

シャー・ジャハーン帝が築いたペルシア式泉水庭園。南から北へ低くなる三つのテラスを水路と多数の噴水がつなぎ、池やあずまやとともに精密な左右対称の景観をつくる。

地理

ラホール城はパキスタン北東部ラホールの城塞で、赤砂岩の防壁内に白大理石の宮殿、謁見空間、モスクが配置される。アーラムギーリー門が城の象徴的な入口をなし、内部には40本柱の間、真珠のモスク、鏡のモザイクで飾られたシーシュ・マハルなどが残る。金箔とモザイクを用いた装飾は、ムガル文明の洗練を伝える。

郊外のシャーラマール庭園は、南から北へ段々に低くなる三つのテラスで構成されたペルシア式の泉水庭園である。水路、滝、噴水、大きな装飾池、あずまやを対称的に配し、水の流れによって庭園全体を結びつける。城塞の力強さと庭園の秩序ある優雅さが、ムガル皇帝の政治と美意識を対照的に表す。

ラホール城とシャーラマール庭園の風景

歴史

ムガル帝国第3代アクバル帝が、インドのアーグラ城と同じくラホール城の建設に着手した。アクバル帝は非イスラム教徒への人頭税を廃止するなど、ヒンドゥー教徒との和解に努めた。第4代ジャハーンギール帝は寝所や庭園を整え、その後も歴代皇帝が城を増改築した。

第5代シャー・ジャハーン帝は赤砂岩の宮殿を白大理石へ改め、40本の円柱をもつ「40本柱の間(ディーワーニ・アーム)」と、白大理石を多用した「真珠のモスク(モティ・マスジド)」を建造した。妃ムムターズ・マハルの私室としてシーシュ・マハルをつくり、内部を鏡のモザイクで埋め尽くした。妃が戦地での出産がもとで亡くなった後、皇帝はアーグラに霊廟タージ・マハルを築いた。シャー・ジャハーン帝の時代には、郊外に三段のシャーラマール庭園も築かれた。

1673年、第6代アウラングゼーブ帝は城外に金曜のモスク(バードシャーヒ・モスク)を建造した。約6万人を収容し、赤砂岩の壁と白大理石のドームを備える。1981年、ラホール城とシャーラマール庭園は登録基準(i)(ii)(iii)で世界遺産に登録された。外壁の劣化や道路拡張工事による庭園の給水設備への影響などから2000年に危機遺産リストへ記載されたが、保全の進展を受け2012年に解除された。

参考

  • UNESCOFort and Shalamar Gardens in Lahore
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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