一族の暮らしと防御を包み込む巨大な土の集合住宅

福建土楼群

Fujian Tulou

閉じた土壁の門をくぐると、家族の生活が幾層にも重なる明るい中庭が開く。

福建土楼群のミニチュア

概要

中国福建省南西部の約120kmにわたり点在する、漢民族の客家が築いた伝統的集合住宅。円形または方形の厚い土壁の内側に木造住居を重ね、最大約800人の同姓一族が暮らす村であると同時に、外敵から共同体を守る砦でもあった。

  • 中国
  • 文化遺産
  • 2008年登録
  • 検定2級

見どころ

福建省南西部の山間に集まる円形と方形の土楼

山里に連なる円形・方形の土楼

上方から眺めると、巨大な円形や方形の土楼が農地と谷間にまとまって点在する。閉じた外壁と中央中庭の対比から、防御と共同生活を一体化した設計がよく分かる。

福建土楼の中央中庭を囲む多層の木造回廊と住居

家族の暮らしを包む中央中庭

土楼の内側では、木造の回廊と住居が何層にも重なり、明るい中庭を囲む。家族ごとの部屋配置や装飾から、最大約800人を支えた共同体の生活空間を実感できる。

地理

登録対象は、台湾海峡から内陸に入った福建省南西部の山間に広がり、水田、茶畑、タバコ畑などの農地と調和する46棟の土楼からなる。直径約30~80mの競技場のような円形や方形で、数階建ての住居が中央の開放的な中庭を囲む。

外側は高く厚い版築の土壁、内側は木造で、瓦葺きの屋根には深い軒が張り出す。入口を一か所に絞り、外窓を原則として2階以上に設ける防御的構造をもつ一方、内側は装飾され、家族ごとに各階の2~3室を縦方向に使った。土楼一棟が「家族の小王国」「にぎやかな小都市」と形容される村落単位を形成した。

福建土楼群の風景

歴史

教材では土楼の建設は12~20世紀に及ぶとされ、登録された46棟は主に15~20世紀に築かれ、特に17~18世紀に精巧な例が発達した。移住した客家の同姓一族は、共同生活と防御を両立させるため、土、木、石など地域の材料を用いて閉じた外観と開かれた中庭を組み合わせた。

福建土楼群は、共通する文化・歴史的背景をもつ複数資産が全体で顕著な普遍的価値を示すシリアル・ノミネーション・サイトの文化遺産の代表例である。シリアル・サイトでは、46棟相互の関係と、客家の共同生活・防御・環境適応を伝える全体の物語が重要になる。

客家の共同体文化を伝える独特な証拠として登録基準(iii)、共同居住と防御組織を具体化した建築伝統の顕著な見本として(iv)、周囲の農村環境と調和する伝統的集落の例として(v)が認められ、2008年に世界遺産へ登録された。

参考

  • UNESCOFujian Tulou
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

公開日: 最終更新: