概要
北アイルランド北端に約8km続く玄武岩海岸。約5,000万~6,000万年前の火山活動で噴出したマグマが冷え、約4万本の正六角形を中心とする石柱を生んだ。巨人伝説の舞台であると同時に、地球科学の発展にも貢献した地質遺産である。
見どころ
海へ続く正六角形の石柱群
マグマがゆっくり冷え、収縮して生じた柱状節理。正六角形を中心とする柱の上面が蜂の巣のように連なり、地球内部の熱が岩の幾何学へ変わった過程を見せる。
「貴婦人の扇」と柱状節理の崖
崖面の玄武岩柱が扇やオルガンの管のように並ぶ海岸地形。『貴婦人の扇』などの名が、自然造形の不思議さと巨人伝説を今に伝える。
地理
アイルランド島北端、北アイルランドのアントリム高原沿岸に位置する。玄武岩の海食崖の下に、約4万本もの黒い石柱が海へ向かって密集し、ジャイアンツ・コーズウェイ(巨人の石道)と呼ばれる景観が約8kmにわたって続く。石柱の多くは正六角形だが、自然の割れ目に応じて辺の数や高さが少しずつ異なる。
柱群は、大量のマグマが冷えて収縮する際に規則的な割れ目が生じた柱状節理である。階段状の石柱、オルガンの管のような崖、扇状に開く「貴婦人の扇」など、形にちなむ名をもつ地形が連続し、海食作用と火山活動がつくった劇的な海岸美を形づくる。
歴史
この海岸の玄武岩は、約5,000万~6,000万年前の第三紀に起きた火山活動で噴出した大量のマグマが冷え固まったものとされる。冷却時の収縮が規則的な割れ目をつくり、波と風化が周囲を削ることで、現在の石柱群と海食崖が現れた。
人々はこの景観を、アイルランドの巨人が海を越えてスコットランドへ渡る道を築いたという伝説で語り継ぎ、「巨人の石道」と名づけた。一方で、この地形は過去約300年にわたる地質学研究の対象となり、火山岩や地球形成史の理解、地球科学の発展に大きく貢献した。1986年に登録基準(vii)(viii)で世界遺産へ登録され、2016年に登録範囲が変更された。
