狩猟採集民が築いた最初期の巨大祭祀空間

ギョベクリ・テペ

Göbekli Tepe

乾いた丘の地中から、動物を刻んだT字柱の輪が現れました。農耕社会の都市よりも早い時代に、人々が集まり、巨石を運び、儀礼の空間を共有していた事実が先史時代像を揺さぶります。

ギョベクリ・テペのミニチュア

概要

トルコ南東部、アナトリア半島の小高い丘にあるギョベクリ・テペは、楕円形や長方形の巨石構造物群からなる考古遺跡です。紀元前9600~前8200年ごろの先土器新石器時代に狩猟採集民が築き、葬送を含む儀礼に用いたと考えられています。円形に並ぶT字型石柱と中央の2本の主柱には、ライオン、ウシ、ヘビなどの野生動物が彫られ、約1万1500年前の生活と信仰を伝えます。2018年に登録基準(i)(ii)(iv)で世界文化遺産に登録されました。

  • トルコ
  • 文化遺産
  • 2018年登録
  • 検定3級
  • 検定2級

見どころ

動物浮彫を刻んだギョベクリ・テペの2本の大型T字柱

向かい合う2本の中央T字柱

円形の囲いの中心に立つ2本の大型T字柱は、周囲の柱より高く、空間全体を支配します。表面の野生動物の浮彫と石材加工の精度を間近に見ると、狩猟採集民の協働と象徴世界が具体的に感じられます。

丘に隣り合うギョベクリ・テペの円形巨石構造物群

丘に重なる複数の巨石囲い

一つの石柱だけでなく、複数の円形・楕円形の囲いが隣り合う全体配置にも注目してください。柱の環と中央の2本という構成が反復され、儀礼空間を計画的に築いた社会の姿が読み取れます。

地理

遺跡はアナトリア半島南東部の見晴らしのよい丘に位置します。地中には、楕円形や長方形を基本とする複数の巨石構造物が重なり、石積みの囲いの内側にT字型石柱が円を描くように並びます。各囲いの中央には、とりわけ大きな2本のT字型石柱が向かい合うように立てられました。

文化遺産は、記念物、建造物群、遺跡、文化的景観などのうち、登録基準(i)~(vi)の一つ以上を満たすものです。ギョベクリ・テペは、自然景観そのものではなく、人間がつくった考古遺跡として文化遺産に分類されます。発掘された柱だけでなく、未発掘層、構造物どうしの配置、丘の地形を含む考古学的文脈が、遺産の完全性を支える重要な要素です。

ギョベクリ・テペの風景

歴史

構造物群は紀元前9600~前8200年ごろ、定住農耕社会が本格化する以前の狩猟採集民によって築かれました。名称に「先土器」とある通り土器普及以前ですが、西アジア考古学では旧石器時代ではなく新石器時代初頭を示す区分として扱われます。葬送を含む儀礼の場だったと考えられ、巨石の採取、運搬、加工、建設には多くの人々の協働が必要でした。

登録基準(i)は人類の創造的資質を示す傑作、(ii)は建築・技術・記念碑・都市計画・景観設計の発展における重要な価値観の交流、(iv)は人類史の重要な段階を示す建築・技術の集合体や景観の顕著な見本を評価します。巨大なT字柱と動物浮彫、複数の囲いを計画して築いた構成、先土器新石器時代の共同体を示す点が、三つの基準に結びつきます。

1994年に採択されたグローバル・ストラテジーは、世界遺産リストの地域・時代・分野の偏りを正すため、先史時代や現代遺産など登録の少なかった分野を重視しました。ギョベクリ・テペは、石造の宮殿や都市だけでは捉えられない先史時代の創造性と社会組織を示す遺産です。真正性を守るには、石柱の形・材質・彫刻だけでなく、出土位置と層位を記録し、根拠のない再建を避けることが欠かせません。

参考

  • UNESCOGöbekli Tepe
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)
  • 書籍『きほんを学ぶ世界遺産100〈第4版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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