概要
ベトナム北東部のハ・ロン湾とカット・バ群島に、海から林立する石灰岩の島々が広がる自然遺産です。長い風化と海進がつくった世界最大級の海成塔状カルストが、類まれな自然美と地球史を示します。教材が扱う旧ハ・ロン湾の範囲に、2023年の拡張でカット・バ群島が加わりました。
見どころ
海上に林立する塔状カルスト
大小の石灰岩塔が海霧の中に幾重にも重なる景観は、登録基準(vii)の自然美と(viii)の地形形成を同時に物語ります。群峰状のフォンコンと孤立塔状のフォンリンを見比べると、地形の多様さが分かります。
カット・バ群島の森と海
2023年に加わったカット・バ群島では、石灰岩の急崖、亜熱帯の森、入り江、海洋生態系が連続します。教材が挙げる希少な霊長類の生息環境も含め、景観だけでなく島嶼生態系にも注目できます。
地理
現在の登録範囲はクアンニン省のハ・ロン湾と、ハイフォン市のカット・バ群島からなり、約65,650haに1,133の島と小島を含みます。海に侵入された塔状カルストの代表例で、円錐峰が群れるフォンコンと、孤立した石灰岩塔が立つフォンリンが、大小さまざまな島の輪郭をつくります。大半の島は無人です。
2級教材は2023年拡張前の「ハ・ロン湾」を扱い、石灰岩台地の風化でできた奇岩の島を約1,600と説明します。この数は旧範囲の教材表現であり、現在の1,133島嶼とは対象範囲・数え方が異なるため区別します。フランソワリーフモンキーやファイールルトンの数少ない繁殖地でもあり、現在の登録範囲ではカルスト森林、海岸、海洋の生態系が一体となっています。
歴史
「ハ・ロン」には「龍が降り立った場所」という伝説が残ります。地形そのものは、厚い石灰岩層が長期間にわたり雨水や地下水で溶食され、その後の海進によって峰の間が海に沈み、現在の塔状カルスト群になったものです。
1994年に登録基準(vii)で登録され、2000年に地質・地形の価値を示す登録基準(viii)が加わる範囲拡大が行われました。2023年にはカット・バ群島へさらに拡張され、英語の現行登録名も「Ha Long Bay - Cat Ba Archipelago」となりました。一方、石炭採掘による水質悪化と観光客増加に伴う生態系への負荷は、教材が挙げる継続的な保全課題です。
