海に沈んだ塔状カルストと島嶼生態系が連なるベトナム北東部の大景観

ハ・ロン湾―カット・バ群島

Ha Long Bay - Cat Ba Archipelago

霧をまとった石灰岩の塔が静かな海面から幾重にも立ち上がり、森と海の生命を抱きます。

ハ・ロン湾―カット・バ群島のミニチュア

概要

ベトナム北東部のハ・ロン湾とカット・バ群島に、海から林立する石灰岩の島々が広がる自然遺産です。長い風化と海進がつくった世界最大級の海成塔状カルストが、類まれな自然美と地球史を示します。教材が扱う旧ハ・ロン湾の範囲に、2023年の拡張でカット・バ群島が加わりました。

  • ベトナム
  • 自然遺産
  • 1994年登録
  • 検定2級

見どころ

ハ・ロン湾の静かな海から林立する大小の石灰岩塔状カルスト

海上に林立する塔状カルスト

大小の石灰岩塔が海霧の中に幾重にも重なる景観は、登録基準(vii)の自然美と(viii)の地形形成を同時に物語ります。群峰状のフォンコンと孤立塔状のフォンリンを見比べると、地形の多様さが分かります。

カット・バ群島の石灰岩の急崖を覆う森と青緑色の入り江

カット・バ群島の森と海

2023年に加わったカット・バ群島では、石灰岩の急崖、亜熱帯の森、入り江、海洋生態系が連続します。教材が挙げる希少な霊長類の生息環境も含め、景観だけでなく島嶼生態系にも注目できます。

地理

現在の登録範囲はクアンニン省のハ・ロン湾と、ハイフォン市のカット・バ群島からなり、約65,650haに1,133の島と小島を含みます。海に侵入された塔状カルストの代表例で、円錐峰が群れるフォンコンと、孤立した石灰岩塔が立つフォンリンが、大小さまざまな島の輪郭をつくります。大半の島は無人です。

2級教材は2023年拡張前の「ハ・ロン湾」を扱い、石灰岩台地の風化でできた奇岩の島を約1,600と説明します。この数は旧範囲の教材表現であり、現在の1,133島嶼とは対象範囲・数え方が異なるため区別します。フランソワリーフモンキーやファイールルトンの数少ない繁殖地でもあり、現在の登録範囲ではカルスト森林、海岸、海洋の生態系が一体となっています。

ハ・ロン湾―カット・バ群島の風景

歴史

「ハ・ロン」には「龍が降り立った場所」という伝説が残ります。地形そのものは、厚い石灰岩層が長期間にわたり雨水や地下水で溶食され、その後の海進によって峰の間が海に沈み、現在の塔状カルスト群になったものです。

1994年に登録基準(vii)で登録され、2000年に地質・地形の価値を示す登録基準(viii)が加わる範囲拡大が行われました。2023年にはカット・バ群島へさらに拡張され、英語の現行登録名も「Ha Long Bay - Cat Ba Archipelago」となりました。一方、石炭採掘による水質悪化と観光客増加に伴う生態系への負荷は、教材が挙げる継続的な保全課題です。

参考

  • UNESCOHa Long Bay - Cat Ba Archipelago
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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