概要
スペインのアルマデンとスロベニアのイドリアに残る、古くから稼働した世界最大規模の水銀鉱山と鉱山街を一体で評価した文化遺産です。新大陸の金銀精錬に使われたアマルガム法が水銀需要を押し上げ、二つの町を新旧大陸間交易の要所へ発展させました。
見どころ
アルマデンの鉱山とレタマル城
鉱山施設と城、宗教建築が一つの町に重なり、水銀採掘が仕事だけでなく都市生活や信仰まで形づくったことを読み取れます。
イドリアの坑道と鉱山街
坑道入口の周囲に労働者住宅や鉱山劇場が残ります。採掘を支えた人々の日常まで産業遺産に含まれる点が見どころです。
地理
遺産はスペインのアルマデンとスロベニアのイドリアという、国境を隔てた二つの鉱山地域から成ります。地下の水銀鉱床や坑道だけでなく、地上の城、宗教建築、労働者住宅、劇場までを含み、採掘・生活・信仰・娯楽が結びついた鉱山街の全体像を伝えます。
2003年にTICCIHが採択したニジニー・タギル憲章は、産業遺産を建物や機械、工房、工場、鉱山、エネルギー・交通施設に限らず、住宅・宗教・教育施設まで含むものと定義しました。本遺産の広い構成は、その産業遺産観を具体的に理解できる好例です。
歴史
アルマデンとイドリアでは古くから水銀鉱山が稼働してきました。新大陸の鉱山で金や銀を取り出すアマルガム法に水銀が使われるようになると需要が急増し、採掘と交易が発展しました。その繁栄は鉱山設備だけでなく、アルマデンのレタマル城と宗教建築、イドリアの鉱山労働者住宅と鉱山劇場にも刻まれています。
2012年、技術と交易を通じた重要な価値観の交流を示す登録基準(ii)、人類史の代表的段階を示す産業技術と鉱山景観の顕著な見本である登録基準(iv)によって世界遺産に登録されました。登録基準(i)〜(vi)のいずれかが認められるため、分類は文化遺産です。
