岩山・森林・河川・砂漠を防壁に変えたラージプートの六つの要塞都市

ラージャスターンの丘陵城塞群

Hill Forts of Rajasthan

岩山、森林、川、砂漠。六つの城塞はそれぞれの大地を防壁に変え、ラージプート諸国の都市と宮廷文化を守った。

ラージャスターンの丘陵城塞群のミニチュア

概要

8〜18世紀に栄えたラージプート諸国の力と文化を伝える、ラージャスターン州の6城塞。岩山、森林、二河川の合流点、砂漠など異なる地形を防御に生かし、城壁内には宮殿、市街、交易所、寺院、水利施設が築かれた。ヒンドゥー系ラージプート文化とイスラム文化が交わる建築・装飾、学問・音楽・美術を育てた宮廷都市の全体像が残る。

  • インド
  • 文化遺産
  • 2013年登録
  • 検定2級

見どころ

色鮮やかなモザイク装飾と幾何学文様に覆われたアンベール城のガネーシャ門

アンベール城のガネーシャ門

ジャイプール北東約11kmの岩山に築かれた宮殿城塞。100年以上の増改築で、鏡の間、幾何学庭園、モザイクの美しいガネーシャ門など豪華な宮廷空間が形成された。

砂漠の丘に黄金色の城壁と市街が連なるジャイサルメール城塞

砂漠に生き続けるジャイサルメール城塞

砂漠の丘から黄金色の城壁が立ち上がり、内部に市街、宮殿、交易空間、ジャイナ教・ヒンドゥー教寺院を抱える。自然地形と都市機能を一体化した城塞群の特徴が際立つ。

地理

インド北西部ラージャスターン州の広い範囲に、チットルガル、クンバルガル、アンベール、ランタンボール、ガーグロン、ジャイサルメールの6城塞が点在する。城壁の周長が20kmに及ぶものもあり、単なる軍事拠点ではなく、宮殿、市街、交易所、貯水施設、ジャイナ教・ヒンドゥー教寺院を内包する要塞都市として発展した。

6城は一つの型を反復したのではなく、地形そのものを防御に利用した。ランタンボールは森林、ガーグロンは二つの川の合流点、ジャイサルメールは砂漠の丘に立ち、チットルガルやクンバルガル、アンベールも岩山と急斜面を城壁に組み込む。広大な城内では雨の少ない環境に備えて水を集め、貯える施設が整えられた。

ラージャスターンの丘陵城塞群の風景

歴史

ラージャスターン地方では8〜18世紀にラージプート諸国が栄え、群雄割拠を背景に丘陵や砂漠、森林、河川を利用した城塞が築かれた。ヒンドゥー教を信仰するラージプート諸族の文化は、対立と交流を重ねたデリー=スルタン朝やムガル帝国のイスラム文化と混ざり合い、建築や装飾に複合的な様式を生んだ。

チットルガル城塞は外敵に備えた13世紀の城を、15世紀にメーワール王ラーナ・クンバが改築した。城内にはラーニー・パドミニ宮殿、ヴィジャイ・スタンバ(勝利の塔)、キルティ・スタンバ(名誉の塔)が残る。クンバルガル城塞は、ラーナ・クンバに仕えた作家・理論家でもある建築家マンダンが設計し、一貫した建設過程による統一的な構造を示す。

アンベール城塞では国王マン・スィン1世が岩山の城を改築し、その後100年以上にわたって増改築が続いた。西側のジャイガル砦とは約326mのトンネルで結ばれ、鏡の間、幾何学庭園、モザイクで飾られたガネーシャ門が宮廷の繁栄を伝える。城壁内部では学問・音楽・美術を支える宮廷文化と、生産・流通・通商を担う都市活動が育まれた。2013年、6城塞が一つのシリアル・サイトとして世界遺産に登録された。

参考

  • UNESCOHill Forts of Rajasthan
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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