概要
ドウロ川河口の丘陵に広がる、約二千年の歴史をもつ港湾都市。ロマネスクからネオクラシックまでの建築が重なる旧市街、二層式のドン・ルイス1世橋、対岸のセラ・ド・ピラール修道院が、海洋交易と都市の成長を一続きの景観に刻む。
見どころ
黄金の木彫が包むサン・フランシスコ教会
外観はゴシックの教会ながら、内部には金泥を施したバロック木彫が柱、祭壇、天井へ密に広がる。海洋交易で栄えた商人層の富と信仰を、まばゆい空間として体感できる。
港町を見下ろすポルト大聖堂
司教座を示す「セ」の名をもつ、旧市街最古層の大聖堂。要塞のような重厚な双塔とロマネスクの内陣を核に、長い都市史のなかで加えられた諸様式が重なる。
地理
ポルトはポルトガル北部、ドウロ川が大西洋へ注ぐ河口近くの急な丘陵斜面に築かれた港湾都市である。北岸のリベイラ地区では細い街路と色彩豊かな家並みが水際から丘へ重なり、対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアにはポートワインの貯蔵・製造施設が並ぶ。両岸を結ぶドン・ルイス1世橋は19世紀、エッフェルの弟子が設計した上下二段の鉄橋で、巨大なアーチが谷を一跨ぎする。南岸の丘上には、円形の教会と回廊を特徴とするセラ・ド・ピラール修道院が立つ。
旧市街には、最古層のポルト大聖堂、内部を金泥の木彫で覆うサン・フランシスコ教会、高さ76mでポルトガル最高の鐘楼とされるクレリゴスの塔、ネオクラシック様式のボルサ宮、マヌエル様式を伝えるサンタ・クララ教会などが集まる。ポルト大聖堂はセ大聖堂とも呼ばれ、「セ」は司教座を意味する。ロマネスクの内陣からバロック、ネオクラシックまで、海洋交易で富を得た商人たちが異なる時代の建築を丘の町へ積み重ねた。
歴史
ポルトの歴史は約二千年に及ぶ。ローマ時代、この地はポルトゥス・カレ、すなわち「カレの港」と呼ばれ、海とドウロ川を結ぶ交易拠点として成長した。その港を意味する名は、のちに都市名だけでなく国名ポルトガルの由来にもつながった。中世以降、丘上の大聖堂を核に市街が広がり、海洋交易の繁栄に伴って教会、塔、商業建築が次々と加わった。
18世紀からは独特の甘みをもつポートワインの輸出が盛んになり、対岸のワイン工場・貯蔵庫と旧市街を結ぶ物流と都市景観が発達した。19世紀には上下二段のドン・ルイス1世橋が架けられ、急峻な谷の両岸を鉄の大アーチで直結した。ロマネスクの大聖堂、マヌエル様式の教会、バロックの鐘楼、ネオクラシックの旧証券取引所、近代鉄橋が一つの都市景観に共存することが、連続的な成長の証しである。1996年、歴史地区と橋、セラ・ド・ピラール修道院は登録基準(iv)で世界文化遺産となった。
