概要
ラトビアの首都リガに残る、中世の商業都市と近代都市の二つの顔をもつ歴史地区。ハンザ同盟で栄えた旧市街には各時代の教会・商館が重なり、新市街にはユーゲントシュティール様式の集合住宅が世界有数の密度で並ぶ。
見どころ
市庁舎広場とブラックヘッド会館
赤レンガと白い彫刻装飾を重ねた階段状破風は、商人都市リガの象徴。市庁舎広場から聖ペテロ教会の尖塔までを結んで見ると、中世の公共空間と都市の輪郭がつかめる。
アルベルタ通りのユーゲントシュティール
ミハイル・エイゼンシュテインの集合住宅では、巨大な仮面、植物曲線、鉄製バルコニーが外壁を覆う。中世旧市街とは対照的な、帝政ロシア期から近代へ向かうリガの創造性を示す街並み。
地理
リガはバルト海へ注ぐダウガヴァ川の河口近くに位置し、東西交易を結ぶ港湾都市として発展した。旧市街では市庁舎広場、商人の館、教会の尖塔が近接し、ロマネスク、ゴシック、バロックなど中世以来の建築様式が混在する。
城壁の外へ広がった新市街には、帝政ロシア期の都市拡張を背景として、富裕層が建てたユーゲントシュティール様式の集合住宅が連なる。これはアール・ヌーヴォーのドイツ語圏での呼称で、ミハイル・エイゼンシュテイン設計の建物をはじめ、曲線、植物文様、人物像を用いた彫刻的なファサードが特徴である。
歴史
13世紀初頭、リガはローマ教皇の命を受けた司教と十字軍によって、カトリック布教の拠点として築かれた。やがてドイツから移住した商人が都市を発展させ、13世紀後半にはハンザ同盟へ加盟した。交易の繁栄を背景に、商人の館や教会、市庁舎を核とする中世ドイツ型の商業都市が形成された。
18世紀以降の帝政ロシア期に市域が拡大し、19世紀末から20世紀初頭には富裕層の集合住宅としてユーゲントシュティール建築が集中的に建てられた。旧市街の多層的な歴史建築と、新市街の質量ともに卓越した近代建築群が評価され、1997年に登録基準(i)(ii)で世界文化遺産となった。
