概要
17世紀、ヌーヴェル・フランスの拠点として築かれた北米の城塞植民都市。崖上・崖下の二層の旧市街、城壁、星形シタデル、シャトー・フロントナックがフランス語圏カナダの歴史を伝える。
見どころ
旧市街を象徴するシャトー・フロントナック
崖上に立つ19世紀末開業のホテル、シャトー・フロントナックは、急勾配の屋根と塔が旧市街の輪郭を決める象徴。テラスからロウアー・タウンと川を一望できる。
北米唯一の城壁と星形シタデル
石造城壁と城門、稜堡、星形のシタデルが旧市街の崖上を守る。北米で唯一まとまって保存された城壁都市の構造を歩きながら確かめられる見どころである。
地理
ケベック旧市街はカナダ東部、セント・ローレンス川を望む崖とその麓に広がる。崖上のアッパー・タウンは宗教・行政の中心として教会、修道院、シタデル、ドーファン堡塁、シャトー・フロントナックなどを擁し、港に近いロウアー・タウンには古い街路と商業地区が残る。
旧市街を囲む城壁、稜堡、城門、防御施設がまとまって現存し、北米で城壁を保存する唯一の都市とされる。カナダ最大級の星形要塞であるシタデルと、崖地を利用した上下二層の都市構造が、ヨーロッパ由来の防御・植民都市計画を北米の地形に適応させた景観を形づくる。
歴史
17世紀初頭、フランス人探検家サミュエル・ド・シャンプランが拠点を築き、ケベックはフランス植民地ヌーヴェル・フランスの政治・軍事・宗教の中心として発展した。崖上を行政・宗教の中心、川辺を港と商業の場とする構成に、防御施設が加わり、城塞植民都市が形づくられた。
その後イギリスの植民地となったが、1774年のケベック法により、フランス民法の効力、カトリック信仰の自由、フランス語の使用が認められた。この制度は、イギリス統治下でもフランス系住民の法・宗教・言語文化が受け継がれる基盤となった。
城壁、アッパー・タウン、ロウアー・タウン、19世紀末に開業したシャトー・フロントナックなどが重なり、ヨーロッパによるアメリカ大陸植民の重要な段階を示す都市景観として、1985年に登録基準(iv)(vi)で世界遺産となった。
