概要
サウジアラビアの紅海岸にある歴史都市。7世紀、第3代正統カリフのウスマーン・イブン・アッファーンがメッカの公式貿易港に定めて以来、メッカ巡礼(ハッジ)の海の玄関口となった。木製出窓とサンゴ石の家、モスク、広場が紅海建築の伝統を伝える。
見どころ
木製出窓とサンゴ石の家
精巧な木製の張り出し窓が日差しを和らげ、風を室内へ導く。紅海産のサンゴ石の壁と組み合わさった商人住宅は、土地の気候と交易が育てた建築の核心である。
ハッジを迎えた海の玄関口
港からモスクと広場へ続く街路には、各地から来た巡礼者と商人が行き交った。メッカへの道を支えた港町だからこそ生まれた、宗教と交易の重なりを感じられる。
地理
ジッダは紅海に面し、海路で到着したムスリムがメッカへ向かう入口に位置する。歴史地区にはモスクや広場、商人の住居・店舗が密集し、港と巡礼路が都市の成長を支えた。
19世紀後半の富裕商人の建物には、木製の張り出し窓と紅海のサンゴを使った壁が見られる。高温多湿の気候に対応して通気を重視した設計であり、かつて紅海両岸に広く見られたものの、現在はサウジアラビア国外にわずかしか残らない建築伝統を伝えている。
歴史
7世紀、第3代正統カリフのウスマーン・イブン・アッファーンが、ジッダをメッカの公式な貿易港と定めた。正統カリフとは、イスラム教の開祖ムハンマドの後からウマイヤ朝成立まで共同体を率いた4代のカリフを指す。以後、ジッダは海路のハッジの玄関口として、世界各地から来るムスリムと商人の文化交流を促し、繁栄した。
2014年に登録基準(ii)(iv)(vi)で世界遺産となった。(ii)は建築・技術・都市計画などにおける重要な価値観の交流、(iv)は人類史の一段階を示す建築・技術・景観の顕著な見本、(vi)は顕著な普遍的価値をもつ出来事・伝統・思想・信仰・芸術や文学との直接的な関係を評価し、他基準との併用が望ましい基準である。ジッダでは、巡礼が生んだ文化交流、気候に適応した紅海建築、メッカ巡礼との継続的な結び付きが評価の核となる。
