概要
ペルー南部アンデスの標高約2,400mの尾根に、15世紀半ば築かれたインカ帝国の都市遺跡。計画的な都市設計、灌漑施設、農業用の棚田、一枚岩のインティワタナが残る。アンデスイワドリなどが生息する周辺の熱帯山地林も評価され、文化と自然双方の登録基準を満たす複合遺産である。
見どころ
太陽神の儀式を伝えるインティワタナ
自然の一枚岩を削り出したインティワタナは、太陽神への宗教儀式に用いられたと考えられる。インカの精密な石加工と、都市の祭祀的性格を伝える。
棚田と熱帯山地林が結ぶ複合遺産
急斜面を刻む棚田と灌漑施設は、尾根上で農業と都市生活を可能にした。遺跡を包む熱帯山地林にはアンデスイワドリなどが生息し、複合遺産の自然価値も支える。
地理
ペルー南部のアンデス山脈、標高約2,400m(ユネスコ資料では2,430m)の細い尾根上に位置する。急峻な山地と熱帯山地林に囲まれ、アンデス東斜面からアマゾン川上流域へ続く自然環境の中に、石造都市と棚田が組み込まれている。
都市は計画的に設計され、住居・祭祀施設・通路がまとまり、段々の棚田と灌漑施設が農業と生活を支えた。周辺にはアンデスイワドリなどが生息する。文化遺産の登録基準(i)(iii)と自然遺産の登録基準(vii)(ix)の双方が認められる複合遺産であり、文化と自然を切り離せない価値が評価されている。
歴史
15世紀半ば、インカ帝国の最盛期に、アンデス山脈の尾根上へ都市が築かれた。石造の建物と通路を秩序立てて配置する計画的な都市設計が行われ、灌漑施設と段々の棚田によって高地での農業が支えられた。
一枚岩のインティワタナは、太陽神への宗教儀式に用いられたと考えられ、都市が政治・生活の場だけでなく祭祀の場でもあったことを示す。精密な石造建築と周囲の山地景観は、インカ文明の創造力と自然への適応を一体として伝える。
1983年、文化面では人類の創造的才能とインカ文明の証拠、自然面では優れた自然美と熱帯山地生態系の過程が認められ、登録基準(i)(iii)(vii)(ix)で世界遺産に登録された。文化基準と自然基準の双方を満たすため、現在の分類では複合遺産である。
