概要
17~18世紀、イエズス会宣教師と先住民グアラニ人が共同生活を営んだレドゥクシオン5施設の遺構。教会堂を中心とする計画都市で、信仰だけでなく農業・畜産・教育も行われた。
見どころ
サン・イグナシオ・ミニの赤い教会堂跡
赤い砂岩の正面壁や彫刻、列柱が残るサン・イグナシオ・ミニ。教会堂を広場の中心に据えたレドゥクシオンの空間構成と、グアラニ人の石工技術を間近に読み取れる。
国境を越えて残るサン・ミゲルの正面壁
ブラジル側のサン・ミゲル・ダス・ミソンイスでは、鐘楼を伴う巨大な教会正面が草地にそびえる。5施設が国境を越えて一つの歴史を構成することを象徴する遺構である。
地理
遺跡群は、アルゼンチン北東部ミシオネス州とブラジル南部リオ・グランデ・ド・スル州にまたがり、熱帯林の中に点在する。アルゼンチン側の4施設とブラジル側の1施設という国境を越えた5つの構成資産からなり、いずれも教会堂を中心に広場、住居、工房、農耕や共同生活のための施設を計画的に配置したレドゥクシオンの遺構である。
施設ごとに平面構成や保存状態は異なるが、壮大な教会堂跡と赤みを帯びた石造壁、柱、彫刻が共通の景観を形づくる。特に保存状態のよいサン・イグナシオ・ミニと、堂々たる正面壁が残るサン・ミゲル・ダス・ミソンイスは、先住民社会とヨーロッパの宗教建築が接触した共同体の規模を伝える。
歴史
16世紀、イグナティウス・ロヨラを中心に設立されたカトリック修道会のイエズス会は、海外布教を積極的に進めた。会士フランシスコ・ザビエルが日本へキリスト教を伝えたことでも知られる。南米では17~18世紀、修道士たちが先住民グアラニ人のキリスト教化を目的にレドゥクシオンを築き、共同生活を営んだ。
レドゥクシオンは礼拝の場にとどまらず、農業や畜産の指導、教育、手工業などを行う生活共同体だった。ヨーロッパから導入された都市計画と宗教建築は、グアラニ人の労働、技術、文化と結びつき、地域独自の景観を生み出した。現在残る5施設は、その社会実験の建築的証拠である。
1983年に登録基準(iv)で世界遺産となり、1984年にアルゼンチン側の4施設が加わって現在の国境を越える構成となった。人類史の一段階を示す建築・都市計画の顕著な見本として、異文化接触の光と影を考える手がかりを残している。
