概要
670年頃の軍営を起源とし、9世紀にアグラブ朝の首都として繁栄した北アフリカの聖都です。シディ・ウクバ・モスクとも呼ばれる大モスクは初期のT字型モスクの代表で、マグリブ各地のイスラム建築に大きな影響を与えました。
見どころ
大モスクの角形ミナレットと列柱中庭
要塞を思わせる角形ミナレットと、再利用された大理石・斑岩の円柱が並ぶ中庭は、北アフリカ初期イスラム建築の力強さを伝えます。礼拝空間のT字型構成にも注目です。
三つの入口が刻む三つの扉のモスク
9世紀の小モスクは、三つのアーチ入口と碑文で飾られた端正な正面を残します。壮大な大モスクとは異なる尺度で、アグラブ朝期の信仰と装飾文化を間近に感じられます。
地理
チュニジア北東部の内陸に位置し、城壁で囲まれた旧市街メディナを中心に発達しています。海岸の大都市から離れた場所に築かれながら、北アフリカを結ぶ交通と宗教の拠点となり、巡礼期には各地から多くのイスラム教徒が訪れます。
市街の中心的な建築が大モスクです。広い中庭を列柱廊が囲み、角形のミナレットが立ちます。礼拝室では壁沿いの通廊と中央通廊がドーム付近で交差してT字をつくる、北アフリカ特有の構成が明瞭です。大モスクの大理石・斑岩の円柱、旧市街の路地、9世紀の三つの扉のモスクなどが、聖都の豊かな建築遺産を構成します。
歴史
670年頃、ウマイヤ朝の将軍ウクバがビザンツ軍を破って北アフリカへ進出した際、この地に遠征軍の宿営地を置いたことが都市の起源です。カイラワーンはイスラム勢力の西方進出の拠点となり、9世紀にアグラブ朝の首都として最盛期を迎えました。
ウクバの名にちなみシディ・ウクバ・モスクとも呼ばれる大モスクは、北アフリカ最初期のT字型モスクの一つです。壁沿いの通廊と中央通廊がドーム部分で交わる形式は、この地方のモスク建築へ広く影響しました。12世紀に政治の中心がチュニスへ移った後も、カイラワーンはマグリブの主要な聖地であり続けました。1988年に世界遺産へ登録され、2010年には登録範囲が変更されています。
