アボリジニの岩壁画と大湿原が共存する複合遺産

カカドゥ国立公園

Kakadu National Park

断崖と湿原の大地に、アボリジニの記憶と雨季の生命が重なり続ける。

カカドゥ国立公園のミニチュア

概要

オーストラリア北部にある同国最大の国立公園。湿地、熱帯雨林、サバナ、断崖が多様な生命を育む一方、約4万年前の石器と1,000か所以上の岩壁画がアボリジニの長い居住を伝える。自然と生きた文化を一体で守る複合遺産である。

  • オーストラリア
  • 複合遺産
  • 1981年登録
  • 検定2級

見どころ

ウビル・ロックの岩陰に残るアボリジニのX線画法の壁画

ウビルとノーランジーのX線画法

ウビル・ロックとノーランジー・ロックには、動物や人の骨格・内臓を透かして描くX線画法を含む壁画が残り、生活、宗教、伝説を伝える。

カカドゥの断崖を背景に広がる雨季の氾濫原と水鳥

断崖と大氾濫原がつくる生命の景観

雨季に水で満たされる広大な氾濫原と、数百km続く岩の断崖。湿地には水鳥とイリエワニが集まり、季節ごとに大地の表情が変わる。

地理

オーストラリア北部ノーザン・テリトリーにある同国最大の国立公園で、登録面積は1,980,994.92haに及ぶ。海岸のマングローブ干潟、雨季に大湿地となる氾濫原、モンスーン性の熱帯雨林、サバナ、低地、330mに達する断崖と台地が連続し、オーストラリア大陸でも特に多様な生態系を保つ。

植物相は46種の絶滅危惧種と9種の固有種を含み、オーストラリア北部で最も多様性に富む。イリエワニやセイタカコウをはじめ、多数の水鳥、爬虫類、両生類、魚類が生息する。氾濫原は雨季の増水と海面変動によって今も変化する動的な環境で、断崖や岩地と鮮やかな対照をつくる。

カカドゥ国立公園の風景

歴史

カカドゥにはアボリジニが数万年にわたり暮らし続けてきた。公園内では約4万年前の石器が見つかり、1,000か所以上の岩壁画には先史時代から近年までの狩猟採集、社会、宗教、伝説が描かれている。動物や人間の骨格・内臓を透視したように表すX線画法は、急所や食べられる部位を示すために発達したと考えられ、ウビル・ロックやノーランジー・ロックに保存状態のよい作例が残る。

1981年に文化と自然の双方の価値をもつ複合遺産として登録され、1987年と1992年に範囲が拡大、2011年に範囲変更が行われた。公園内には約300人のアボリジニが居住する。土地は正式にアボリジニの所有地と認められ、政府が借り受け、伝統的所有者と共同で公園を運営する。この管理体制は、今も続く文化的景観と多様な自然を一体として守る基盤である。

参考

  • UNESCOKakadu National Park
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

公開日: 最終更新: