概要
カトマンズ盆地に点在する3王都の広場、2つの仏塔、2つのヒンドゥー寺院からなる7地区。マッラ朝期に発達した都市建築と工芸、ヒンドゥー教と仏教の融合が共存するネパールの宗教文化を体現する。
見どころ
三王都が競ったダルバール広場
王宮と多層の寺院が集まる都市広場。カトマンズにはタレジュ寺院やシヴァ・パールヴァティ寺院が立ち、パタンとバドガオンにもそれぞれ王都の個性が残る。
ネパール最大の仏塔ボダナート
ネパール最大の仏塔で、巨大な白い覆鉢と四方を見渡すブッダの眼が印象的。ヒンドゥー教寺院群とともに、谷に共存する信仰を象徴する。
地理
ネパール中央部のカトマンズ盆地は直径20km強の範囲に歴史的建造物が密集し、「人よりも多くの神々が住む街」とも称される。登録資産は約167.37haで、カトマンズ、パタン、バドガオン(バクタプル)の3ダルバール広場、スワヤンブナートとボダナートの2仏塔、パシュパティナートとチャング・ナラヤンの2ヒンドゥー寺院という7つの記念物地区からなる。
インドとチベットを結ぶ交通・交易の中継地で、多民族の文化と高度なレンガ・石・木・青銅工芸が発達した。仏塔、ヒンドゥー寺院、王宮、都市広場が近接し、ヒンドゥー教と仏教の融合に土着信仰や密教的伝統も重なる独自の宗教景観をつくる。
歴史
14世紀にマッラ朝が支配した谷では、ヒンドゥー教と仏教の融合が進み、インドとチベットを結ぶ中継都市として発展した。15世紀後半には王国がカトマンズ、パタン、バドガオンの3国に分かれ、各王都が栄華を競って王宮、寺院、広場を築いた。パタンは工芸の盛んな「ラリトプル(美の都)」、バドガオンは「信者の街」とも呼ばれ、後者の宮殿には精巧な木彫りが並ぶ「55の窓」が残る。18世紀にグルカ王国が3王国を統一した後も建築活動は続いた。
1979年、7つの記念物地区が登録基準(iii)(iv)(vi)で世界遺産に登録された。都市開発による文化遺産の潜在的な危機が深刻化して2003年に危機遺産となったが、保存状態の改善により2007年に解除された。2006年には7地区を明確にする範囲変更が承認された。2015年の大地震では多数の建造物が被災し、その後も伝統技術を生かした修復が続いている。
