概要
インド中部でチャンデーラ朝が10〜11世紀に築いた、ヒンドゥー教とジャイナ教の寺院群。西・東・南の3群に分かれ、最大のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院は高さ約31mのシカラをもつ。神々や日常生活、男女一対を表すミトゥナなどの細密彫刻が建築と一体化した、中世北インド宗教建築の頂点である。
見どころ
カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院
西群最大の寺院。高さ約31mの主シカラを多数の小尖塔が取り巻き、聖なる山を思わせる垂直的な造形と、建築を覆う緻密な彫刻が一体になっている。
壁面を覆うミトゥナと彫刻群
神々、礼拝者、踊り子、楽師、動物、日常生活、男女一対を表すミトゥナなどが、砂岩の壁面に途切れなく刻まれる。聖と俗を包み込む彫刻世界が最大の特徴。
地理
カジュラーホはインド中部マディヤ・プラデーシュ州に位置し、西群・東群・南群の3地区に寺院が分布する。世界遺産を構成する寺院景観は約6km²に広がり、現存する約20余の寺院にはヒンドゥー教とジャイナ教という二つの宗教の聖所が共存している。西群はヒンドゥー教寺院が中心で、東群にはジャイナ教寺院が多い。
寺院は高い基壇の上に本殿と礼拝空間を軸線上に連ね、聖室の上へ北インドのナーガラ様式を代表する砲弾形の尖塔シカラを立ち上げる。最大のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院は高さ約31mの主シカラをもち、周囲の小尖塔が聖山カイラスの峰々のように重なる。一方、東群のジャイナ教寺院ではパールシュヴァナータ寺院が最大規模である。
歴史
寺院群はチャンデーラ朝の勢力が最盛期を迎えた10〜11世紀、特に950〜1050年頃を中心に造営された。王権と信仰を示す宗教都市には多数の寺院が築かれ、北インド寺院建築は、基壇・礼拝堂・聖室・シカラを統合した成熟した姿へ達した。
チャンデーラ朝の衰退後に多くの寺院が失われたものの、西・東・南の3群にはヒンドゥー教寺院とジャイナ教寺院が残った。建築の立体構成と彫刻を均衡させた点が高く評価され、とりわけカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の彫刻はインド美術の傑作とされる。
外壁には神話的主題だけでなく、礼拝、家庭生活、教師と弟子、踊り子、楽師、恋人たちなどが表現される。なかでも性的な情景を含む男女一対の彫刻ミトゥナで知られるが、それは人間の生と感情を大きな聖なる秩序の中に組み込んだ、豊かな彫刻体系の一部である。1986年に世界遺産へ登録された。
