シカラと官能的な彫刻が一体となった中世インド寺院建築の頂点

カジュラーホの寺院群

Khajuraho Group of Monuments

尖塔が山脈のように重なり、その石肌を神々と人間の営みが埋め尽くす。建築と彫刻が一つになった中世インドの聖域。

カジュラーホの寺院群のミニチュア

概要

インド中部でチャンデーラ朝が10〜11世紀に築いた、ヒンドゥー教とジャイナ教の寺院群。西・東・南の3群に分かれ、最大のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院は高さ約31mのシカラをもつ。神々や日常生活、男女一対を表すミトゥナなどの細密彫刻が建築と一体化した、中世北インド宗教建築の頂点である。

  • インド
  • 文化遺産
  • 1986年登録
  • 検定2級

見どころ

朝の光を受けて高いシカラと彫刻壁を見せるカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院

カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院

西群最大の寺院。高さ約31mの主シカラを多数の小尖塔が取り巻き、聖なる山を思わせる垂直的な造形と、建築を覆う緻密な彫刻が一体になっている。

神々や楽師、動物などの精緻な砂岩彫刻が並ぶカジュラーホ寺院の外壁

壁面を覆うミトゥナと彫刻群

神々、礼拝者、踊り子、楽師、動物、日常生活、男女一対を表すミトゥナなどが、砂岩の壁面に途切れなく刻まれる。聖と俗を包み込む彫刻世界が最大の特徴。

地理

カジュラーホはインド中部マディヤ・プラデーシュ州に位置し、西群・東群・南群の3地区に寺院が分布する。世界遺産を構成する寺院景観は約6km²に広がり、現存する約20余の寺院にはヒンドゥー教とジャイナ教という二つの宗教の聖所が共存している。西群はヒンドゥー教寺院が中心で、東群にはジャイナ教寺院が多い。

寺院は高い基壇の上に本殿と礼拝空間を軸線上に連ね、聖室の上へ北インドのナーガラ様式を代表する砲弾形の尖塔シカラを立ち上げる。最大のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院は高さ約31mの主シカラをもち、周囲の小尖塔が聖山カイラスの峰々のように重なる。一方、東群のジャイナ教寺院ではパールシュヴァナータ寺院が最大規模である。

カジュラーホの寺院群の風景

歴史

寺院群はチャンデーラ朝の勢力が最盛期を迎えた10〜11世紀、特に950〜1050年頃を中心に造営された。王権と信仰を示す宗教都市には多数の寺院が築かれ、北インド寺院建築は、基壇・礼拝堂・聖室・シカラを統合した成熟した姿へ達した。

チャンデーラ朝の衰退後に多くの寺院が失われたものの、西・東・南の3群にはヒンドゥー教寺院とジャイナ教寺院が残った。建築の立体構成と彫刻を均衡させた点が高く評価され、とりわけカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の彫刻はインド美術の傑作とされる。

外壁には神話的主題だけでなく、礼拝、家庭生活、教師と弟子、踊り子、楽師、恋人たちなどが表現される。なかでも性的な情景を含む男女一対の彫刻ミトゥナで知られるが、それは人間の生と感情を大きな聖なる秩序の中に組み込んだ、豊かな彫刻体系の一部である。1986年に世界遺産へ登録された。

参考

  • UNESCOKhajuraho Group of Monuments
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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