概要
カナダ東端、ニューファンドランド島の北の果てに残る、約1,000年前のヴァイキングの集落跡。コロンブスより500年も早く大西洋を渡った北欧の人々が築いた、南北アメリカで唯一確認されたヴァイキングの拠点であり、ヨーロッパ人による北米最古の入植の証しとして知られる。
見どころ
芝土をまとう家
厚い芝土(ターフ)を壁と屋根に積み上げたロングハウス。寒冷な風土に耐える北欧伝来の工法で、周囲の草原に溶け込むように建つ。
炉を囲む暮らし
ロングハウスの内部。中央に長い炉が切られ、木組みと芝土の壁が薄暗い室内を包む。厳しい北の海辺での日々がしのばれる。
地理
ニューファンドランド島の北端、大西洋へ突き出した細長い半島の先に位置する。木々もまばらな、風の吹きすさぶ草原に、芝土(しばつち)で壁と屋根を葺いた素朴なロングハウスが点在していた。発掘では、8ヵ所の住居跡のほか、木材を加工する製材所や鉄を鍛える鍛冶場の跡、さらには青銅器や鉄器などが見つかっている。いまは当時の姿をしのばせる3棟の建物が復元され、往時の暮らしを静かに伝えている。
歴史
いまからおよそ1,000年前、北欧から海を越えてきたヴァイキングが、この地に足を下ろした。ヴァイキングとは、スカンディナヴィア半島やバルト海沿岸を故郷とし、巧みな航海術でヨーロッパから北米までを駆けめぐったノルマン人の呼び名である。
彼らが北米へ渡ったという話は、長らく12〜13世紀に編まれた北欧の伝承文学『サガ』のなかの物語にすぎなかった。それを史実へと変えたのが、1960年代にこの地を掘り起こしたノルウェーの探検家イングスタッド夫妻だ。住居や工房の跡、出土した道具の数々は、いずれも当時のノルウェーの様式とぴたりと一致した。こうしてここが、北アメリカにおける最初のヨーロッパ人の入植地であったことが裏づけられたのである。コロンブスの新大陸到達より、実に500年も前の出来事だった。1978年、この歴史公園は世界で最初に選ばれた12件の世界遺産の一つに加えられた。
