概要
スイスのレマン湖沿岸で、ローザンヌからシヨン城まで約30kmにわたり続くブドウの段々畑。11世紀からベネディクト会とシトー会の指導でワイン生産が続き、急斜面の石垣、ブドウ畑、民家、ワイン工場、湖、アルプスが一体の文化的景観を形づくる。
見どころ
レマン湖へ降りる石垣の段々畑
急斜面を細かな棚へ分ける石垣とブドウの列が、湖面へ向かって幾重にも重なる。集落とワイン工場も畑の中に組み込まれ、約30km続く生産景観の密度を味わえる。
修道会から続くワイン造り
11世紀以来、ベネディクト会とシトー会の指導を受けた栽培と醸造が受け継がれてきた。畑、作業場、住居が結び付く姿は、今も進化を続ける文化的景観そのもの。
地理
レマン湖に沿い、ローザンヌからシヨン城まで約30kmにわたってブドウの段々畑が続く。急斜面を石垣で細かな棚へ変え、日当たりのよい土地を余すところなく栽培に利用している。
畑の間には民家、歴史的な集落、ワイン工場が点在し、斜面の下にはレマン湖、対岸にはアルプス山脈が広がる。自然の制約へ人が長く適応し、暮らしと生産を組み込んだ景観である。
歴史
ラヴォーでは11世紀から、カトリックのベネディクト会とシトー会の指導のもとでワイン生産が続いてきた。急斜面を段々畑へ変える土地利用、集落、醸造施設が世代を超えて維持され、現在も生産が続く。
文化的景観は、世界遺産リストの欧州石造建築への偏りを改め、自然と人間が共同でつくる景観を柔軟に評価するため、1992年の第16回世界遺産委員会で採択された概念である。条約第1条の「自然と人間の共同作品」に相当し、自然の制約の中で社会が経済的・文化的に進化した姿を示す。文化遺産に分類されながら文化と自然の境界に位置し、1993年のトンガリロ国立公園が最初の適用例となった。
文化的景観には、人が意図して設計した「意匠された景観」、社会・経済・政治・宗教上の要求から形成された「有機的に進化する景観」、自然要素と信仰・芸術・文学などが結び付く「関連する景観」がある。有機的景観は発展が止まった残存景観と、今も発展する継続する景観に分かれ、ラヴォーはワイン生産が続く後者として理解できる。道、運河、交流・通信網のような長い線状区域も文化的景観になり得るため、約30kmに連なるラヴォーの広がりにも通じる。保護には文化と自然の双方への配慮、地域共同体の協力、資産範囲と緩衝地帯の明確化が欠かせない。
2007年、登録基準(iii)(iv)(v)で世界遺産に登録された。(iii)は文化的伝統を伝える独特な証拠、(iv)は人類史の代表的段階を示す建築・技術・景観の顕著な見本、(v)は文化を代表する伝統的集落・土地利用や、人類と環境の交流の顕著な見本を評価する。
