概要
北フランスのノルマンディー地方、イギリス海峡に面する港湾都市です。第二次世界大戦で街の約8割を失った後、オーギュスト・ペレが1945〜1964年に鉄筋コンクリートの規格化と歴史的街並みの継承を両立させて再建しました。世界の都市復興計画に影響した成功例です。
見どころ
タウンホールが示す市民都市の軸
長い水平ファサードと塔を組み合わせたタウンホールは、資料写真にも示される再建都市の代表的景観です。列柱の反復と広場の余白から、ペレが目指した秩序ある市民空間を読み取れます。
鉄筋コンクリートの統一都市
柱・梁・窓の寸法を反復する建物が広い街路を縁取り、港湾都市を一体の景観へまとめています。近代技術を使いつつ、残存建築や旧市街の記憶を生かした点が戦後復興の模範となりました。
地理
ル・アーヴルはノルマンディー地方でイギリス海峡を望む港湾都市です。再建地区では、港に開く広い街路、整然とした街区、柱と梁のリズムをそろえた建物群が統一された都市景観をつくります。一方で、焼失を免れた歴史的建造物や従来の街並みも計画に取り込まれ、新旧が接続されています。
歴史
画家クロード・モネは少年時代をル・アーヴルで過ごし、1872年に港を描いた『印象・日の出』は「印象派」という名称の由来になりました。
第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦に伴う破壊で、市街地の約8割が失われました。再建を率いたのは1874〜1954年に生きた新古典主義の建築家オーギュスト・ペレです。大規模な鉄筋コンクリート建築の先駆者だったペレは、1945〜1964年、最新の素材と技術を用いながら、残された歴史的建造物や街並みを生かして都市を再構成しました。世界の都市計画へ重要な価値観を伝えた点が登録基準(ii)、人類史の戦後復興を示す建築技術と都市景観の顕著な見本である点が登録基準(iv)に当たり、2005年に世界遺産となりました。
