概要
アルゼンチン南部パタゴニアに広がる、世界第3の規模をもつ氷河地帯。大型47、小型200以上の氷河とフィッツロイ山、草原、氷河湖が一体となり、年600~800m動くペリト・モレノ氷河などが、今も続く氷河作用を壮大な景観として見せる。
見どころ
轟音とともに崩れるペリト・モレノ氷河
アルヘンティーノ湖へ迫る巨大な氷壁は、年600~800mも移動する。湖水をせき止めた氷堤が崩れ、青い氷塊が轟音とともに落ちる光景で名高い。
氷原を見下ろすフィッツロイ山
パタゴニアの草原と氷河地帯の背後に立つ標高3,375mの花こう岩峰。鋭い岩稜と雲をまとう姿が、氷河景観の雄大な輪郭をつくる。
地理
アルゼンチン南部パタゴニア、サンタ・クルス州南西部のアンデス山脈に位置する。世界遺産の登録面積は726,927haで、南パタゴニア氷原から流れ出す氷河、フィッツロイ山をはじめとする花こう岩峰、氷河湖、草原、森林が一体となる。南極、グリーンランドに次ぐ世界第3の規模の氷河地帯とされ、大型氷河47、小型氷河200以上が存在する。
最大の氷河は約600km²のウプサラ氷河、最も動きが活発なのはペリト・モレノ氷河である。一般的な氷河の移動が年に数mほどなのに対し、ペリト・モレノ氷河は冬の気温が比較的高いことも関係して年600~800m進む。氷河はアルヘンティーノ湖やビエドマ湖へ流れ込み、前進と後退、氷塊の崩落、モレーンの形成を通じ、第四紀から現在まで続く氷河作用を目の前で示す。
歴史
氷河地形は第四紀の更新世に繰り返された氷期と、現在の完新世における新たな氷河作用によって形づくられた。氷河の前進・後退は湖盆やモレーンを刻み、現在も景観を変え続けている。フィッツロイ山は先住民アオニケンクの言葉で「煙を吐く山」を意味するチャルテンとも呼ばれ、山々には先住民の歴史を伝える地名や岩面彫刻が残る。
アルゼンチンは1937年にこの一帯を保護区とし、後に国立公園と国立保護区へ整備した。1981年、壮大な氷河景観と現在進行形の氷河作用を示す地質学的価値が評価され、世界自然遺産に登録された。現在は観光利用を管理しながら、気候変動研究やパタゴニア固有の生態系保全の重要な拠点となっている。
