概要
アルジェリアの乾燥地に、イスラム教少数派のイバード派を信仰するムザブ族が築いた計画都市群。5つの城塞都市を中心に、モスク、立方体家屋、井戸、地下水路、ナツメヤシのオアシスが共同体の暮らしと環境への適応を伝える。
見どころ
ガルダイアのキュビスム的景観
王冠状のミナレットを中心に、ベージュとターコイズブルーの立方体家屋が丘を覆う。ル・コルビュジエにも影響を与えた、簡素で機能的な都市美が際立つ。
砂漠を潤す井戸と地下水路
雨の少ない谷で井戸と地下水路を整え、その水でナツメヤシを育てた。建築だけでなく、水の分配とオアシスの維持に共同体の環境適応の知恵が表れている。
地理
首都アルジェの南約450km、ほとんど雨が降らないムザブの谷に位置する。谷には5つのクスール(城塞都市)が点在し、それぞれ丘上のモスクを核に住宅が密集する。
水の乏しい土地で、住民は井戸を掘り、地下水路を築き、ナツメヤシを植えてオアシスを育てた。建築は簡素で機能的であり、厳しい環境に適応しながら、共同生活と家族の構造の双方を尊重するよう設計されている。
歴史
ムザブの谷の伝統的居住地は10世紀頃に形づくられ始め、11~12世紀にかけて城塞都市群として発展した。イスラム教の少数派イバード派を信仰して迫害を受けたベルベル人の一派、ムザブ族がこの地へ逃れ、乾燥地に持続的な都市とオアシスを築いた。
各都市ではモスクを中心に共同体の秩序が組み立てられた。王冠状の上部をもつミナレットと、ベージュやターコイズブルーに彩られた立方体家屋がつくる景観は「キュビスム的」とも形容される。とりわけガルダイアの都市景観はル・コルビュジエに影響を与え、現代の都市計画家にも着想を与えてきた。
1982年、文化交流の影響、イバード派共同体の文化的伝統、乾燥環境に適応した居住形態が評価され、世界文化遺産へ登録された。
