概要
ベルギーのブリュッセルに残る、建築家ヴィクトール・オルタ設計の4邸宅。19世紀末から20世紀初頭、石造住宅が主流だった時代に鉄とガラスを構造へ大胆に用い、開放的な平面、光の拡散、植物的な曲線装飾を一体化してアール・ヌーヴォーを先導した。
見どころ
タッセル邸の光あふれる階段室
鉄の細い支柱、曲線の手すり、ガラス、モザイク床が連続し、上から届く光が細長い住宅の奥まで広がる。構造と装飾を一体化したオルタの革新を最もよく示す。
4邸宅の植物的な鉄装飾
窓枠、柱、手すり、床や壁の文様まで植物の茎のような曲線が反復する。表面を飾るだけでなく、建物の構造と空間の流れを結ぶ点が重要。
地理
ベルギー王国の首都ブリュッセルに点在する都市住宅群で、タッセル邸、ソルヴェイ邸、ヴァン・エートヴェルド邸、オルタ邸兼アトリエの4棟からなる。いずれも限られた間口を生かし、吹き抜けや階段室を通して自然光を奥まで導く都市住宅である。
外観だけでなく、平面構成、構造、家具、モザイク、壁画、照明、手すりまでを総合的に設計し、曲線が建物の骨格と装飾をつなぐ。
歴史
19世紀末から20世紀にかけて、建築家ヴィクトール・オルタはブリュッセルに革新的な邸宅を設計した。4棟のうち最も早い時期のタッセル邸では、当時の新素材だった鉄とガラスを住宅へ大規模に導入した。石造りが主流の時代に、鉄の細い柱や梁、ガラス、植物的な曲線装飾を構造と結び付け、閉鎖的だった室内を開放的で明るい空間へ変えた。
この様式上の革命は多くの建築家に衝撃を与え、アール・ヌーヴォーの先駆けとなった。2000年に登録基準(i)(ii)(iv)で世界遺産に登録。(i)は人類の創造的資質を示す傑作、(ii)は建築の発展における重要な価値観の交流、(iv)は人類史の代表的段階を示す建築様式・技術の顕著な見本を評価する基準であり、4邸宅はそのすべてを体現している。
