概要
古代エジプト古王国の首都メンフィスと、ギザからダハシュールまで約30kmに延びる広大な墓地遺跡。マスタバからジェセル王の階段ピラミッド、スネフェル王の屈折・赤のピラミッド、クフ王の大ピラミッドへ至る王墓建築の発展を一つの地域でたどれる。
見どころ
最初のピラミッド、ジェセル王の階段ピラミッド
宰相イムホテプが石造マスタバを拡張し、6層・高さ約60mへ発展させたサッカラの王墓。王墓建築が巨大な石造記念物へ転換した決定的な一歩を示す。
スネフェル王が試みた屈折と赤のピラミッド
途中で勾配が変わる屈折ピラミッドと、滑らかな四面をもつ赤のピラミッド。試行錯誤の形そのものが、真正ピラミッド完成への技術的過程を伝える。
地理
遺産はナイル川西岸の氾濫原と砂漠の境に広がり、古王国の首都メンフィスを中心に、ギザ高原からサッカラ、アブシールを経てダハシュールまで南北約30kmに連なる。登録地には岩窟墓、装飾されたマスタバ、神殿、王宮跡、集落跡、スフィンクス、38基を超えるピラミッドなど、多様な葬祭・都市遺構が含まれる。
首都メンフィスは上エジプトと下エジプト、さらに交易路が交わる要衝にあり、王権と行政、創造神プタハ信仰の中心となった。墓地地帯では、王墓が日干しレンガの角形墳墓から切石造の階段ピラミッド、さらに真正ピラミッドへ変化した過程が地形に沿って読み取れる。
歴史
古王国時代以前、王や貴族は日干しレンガなどで築く角形墳墓マスタバに葬られた。第3王朝のジェセル王は宰相イムホテプに新しい王墓を命じ、石造マスタバを拡張・積層して高さ約60m、6層の階段ピラミッドを完成させた。切石を用いた世界最古級の大規模記念建造物とされ、以後のピラミッド建設の出発点となった。
第4王朝のスネフェル王は形態を試行し、上部の勾配が緩くなる屈折ピラミッドや石材の色にちなむ赤のピラミッドなど、在位中に3基を築いたとされる。後継のクフ王は建造時約150m、平均約2.5tの石材約230万個を用いたとされる最大のピラミッドをギザに築いた。工法はなお解明されていないが、周辺の宿舎跡から、農閑期の公共事業として多数の人びとが従事したという説もある。クフ王の大ピラミッドは古代世界の七不思議で唯一現存する建造物である。1979年、古代エジプト文明の建築技術、宗教観、国家組織を伝える遺産として世界遺産に登録された。
