概要
ギリシャ中部に林立する高さ約20〜400mの岩柱と、その頂上に築かれたギリシャ正教の修道院群。11世紀からの隠修生活、15〜16世紀の建築・フレスコ画、類まれな岩峰景観を一体として評価する複合遺産である。
見どころ
岩峰と一体になった天空の修道院
地上から垂直にそびえる岩柱の頂へ、岩の形に沿って修道院が建つ。かつて資材や人を運ぶ手段は綱ばしごと滑車に限られたが、現在は多くの修道院へ岩を刻んだ階段で上ることができる。
ポスト・ビザンツ絵画とイコン
後期ビザンツ様式のカトリコンや聖ニコラオス修道院には、15〜16世紀のフレスコ画が残る。16世紀の壁画はポスト・ビザンツ絵画の重要な段階を示し、イコン、古書、典礼用具とともにギリシャ正教美術の宝庫をなす。
地理
ギリシャ中部テッサリア地方に、高さ約20〜400mの塔状岩塊が林立する。メテオラという名はギリシャ語で『中空に浮く』を意味し、切り立った岩柱と、その頂に載る修道院が空中へ浮かぶような景観をつくる。
岩塊は砂岩・礫岩質の堆積層が長い侵食を受け、硬い部分が塔状に残ったものと説明される。2級教材の日本語本文は軟らかい石灰岩と硬い堆積岩層の差による形成、英語補足は砂岩の峰と記しており岩石名に異同があるが、いずれも差別侵食が奇岩群を生んだ点を伝えている。修道院は岩山の形に沿って建てられ、自然美を評価する基準(vii)と文化的価値を示す基準(i)(ii)(iv)(v)を併せ持つ複合遺産である。
歴史
11世紀頃、ギリシャ正教の修道士たちが、俗世から隔絶した環境で修行するためメテオラ周辺へ移り住んだ。14世紀頃から岩峰上に修道院の建設が始まり、資材や人は綱ばしごや滑車で引き上げられた。聖アタナシオスが築いた最大のメタモルフォシス修道院をはじめ、修道院は王・領主・教主の保護を受けて発展し、隠修生活の理念が復興した15〜16世紀の最盛期には24棟を数えた。
2級教材は7修道院が登録されると説明し、同じ教材の英語補足は現在活動する修道院をメタモルフォシス修道院を含む6棟、残りの多くを廃墟と記す。後期ビザンツ様式のカトリコン、聖ニコラオス修道院などに残る15〜16世紀のフレスコ画について、UNESCO researchは16世紀のポスト・ビザンツ絵画発展における重要な段階と位置付ける。一方、2級教材は『クレタ様式』を青銅器時代クレタ島に端を発する自然主義的・動的表現とも説明しており、同じ名称で扱う文脈の違いに注意が必要である。聖母、イエス、聖人を描き信仰対象とするイコン、古書、典礼用具も伝わる。
教材の英語補足には2015年の修道者総数を66人とする一方、内訳を修道士15人と修道女41人とする記述があり、合計は一致しない。このため人数は確定値として扱わず、資料内の異同として明記する。1988年、文化と自然の双方の価値により登録基準(i)(ii)(iv)(v)(vii)で世界遺産に登録された。
