概要
中国東部の黄海・渤海湾沿岸に広がる、西太平洋岸最大の潮間帯干潟です。魚類や甲殻類が豊富で、東アジアからオーストラリアへ渡る鳥の重要な中継地となり、タンチョウ、ヘラシギ、ヒガシシナアジサシなどを支えています。
見どころ
タンチョウが集まる潮間帯
浅い水面と干潟で採餌するタンチョウを観察すると、越冬、換羽、繁殖を支える広大な湿地の役割が分かります。世界の個体群の約50〜80%が利用する重要な場所です。
ヘラシギを養う豊かな干潟
湿った泥の中を探るヘラシギのへら状のくちばしと、小さな甲殻類に注目してください。長距離を渡る絶滅危惧種にとって、豊かな餌場を守ることが保全の核心です。
地理
中国東部の黄海と渤海湾に沿う広大な潮間帯に位置します。潮間帯とは、潮の干満によって一日のうち海中にも陸地にもなる地帯です。引き潮で現れる泥質干潟と潮溝には魚類や甲殻類が多く、渡り鳥が長距離移動の途中で採餌し、休息するための環境が形成されています。
自然遺産は登録基準(vii)〜(x)のいずれかが認められた資産です。この保護区に適用された基準(x)は、絶滅危惧種の生息域を含む、生物多様性保全上もっとも重要で代表的な自然生息域を対象とします。東アジア—オーストラリア地域の渡りルートを支えることが、資産の価値の中心です。
歴史
黄海・渤海湾の干潟は、東アジアからオーストラリアに及ぶ渡り鳥飛行ルートの要所です。タンチョウでは全個体数のおよそ50〜80%が、この沿岸で越冬、換羽、繁殖を行うとされます。ヘラシギやヒガシシナアジサシなど、絶滅のおそれのある鳥にとっても欠かせない生息地です。
登録計画では全16エリアのうち、保護の緊急度が特に高い2エリアが第1段階として2019年に登録されました。基準(x)の評価ではIUCNレッドリストなどが主要資料になりますが、レッドリストは科学的な危機評価であり、それ自体が法的保護を与える制度ではありません。
すべての世界遺産に求められる完全性は、顕著な普遍的価値に必要な要素と長期保護の体制がそろうことを意味します。基準(x)では多様な生息環境を含むことに加え、渡りをする種の移動経路も守る必要があります。この遺産は、個々の干潟だけでなく、飛行ルート全体の連続性を意識した保全が重要です。
