フェリペ2世の帝国を象徴する王立複合施設

マドリードのエル・エスコリアール修道院と王立施設

Monastery and Site of the Escurial, Madrid

厳格な花崗岩の外観の内側に、信仰・王権・学問の世界が重なる。

マドリードのエル・エスコリアール修道院と王立施設のミニチュア

概要

マドリード郊外に築かれた、修道院、王宮、霊廟、聖堂、神学校、図書館を一体化した王立の複合施設です。フェリペ2世の時代に完成し、装飾を抑えたエレーラ様式の外観と、フレスコ画で彩られた内部が「太陽の沈まぬ大帝国」と呼ばれたスペインの最盛期を伝えます。

  • スペイン
  • 文化遺産
  • 1984年登録
  • 検定3級
  • 検定2級

見どころ

エル・エスコリアール王立図書館の書架とフレスコ画天井

王立図書館のフレスコ画

長い閲覧室には木製書架と幾何学的な床が続き、ヴォールト天井を学問を主題とするフレスコ画が覆います。王権と信仰だけでなく、知の集積地でもあった複合施設の性格を示します。

エル・エスコリアールの王家の霊廟内部

スペイン王家の霊廟

王家の霊廟は、フェリペ2世が父カルロス1世のためにも構想した施設です。暗色の大理石と金色の装飾、整然と並ぶ石棺が、修道院と王朝の記憶を一体化した計画を物語ります。

地理

スペインの首都マドリードから北西へ離れたサン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルにあり、グアダラマ山脈南麓の高原に巨大な花崗岩の建築群が広がります。遠くからでも、長大な水平線を描く外壁、四隅の塔、中央聖堂のドームと鐘楼が明瞭に見えます。

周囲の王領と一体で計画され、宮廷生活、祈り、教育、学術、王家の埋葬という異なる機能を、一つの厳格な幾何学秩序の中へまとめた点が大きな特徴です。

マドリードのエル・エスコリアール修道院と王立施設の風景

歴史

1557年、聖ラウレンティウス(ロレンソ)の殉教日にあたる日にフランス軍へ勝利した国王フェリペ2世は、聖人の加護への感謝と、父カルロス1世を含む王家の霊廟を設ける目的から建設を構想しました。1563年に工事が始まり、初代建築家フアン・バウティスタ・デ・トレドの後をフアン・デ・エレーラが継ぎ、1584年に完成しました。

外観は装飾を抑え、明快な線と量塊で構成するエレーラ様式で統一されています。一方、内部には美しいフレスコ画が施され、王宮、修道院、聖堂、王家の霊廟、神学校、蔵書を収める図書館が組み込まれました。1984年、スペイン絶対王政の最盛期と対抗宗教改革期の思想を建築として示す遺産として世界遺産に登録されました。

参考

  • UNESCOMonastery and Site of the Escurial, Madrid
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)
  • 書籍『きほんを学ぶ世界遺産100〈第4版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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