マヌエル様式で刻まれた大航海時代ポルトガルの二つの記念碑

リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

Monastery of the Hieronymites and Tower of Belém in Lisbon

船とロープと海の生き物が白い石の装飾に変わり、テージョ川のほとりで大航海時代の記憶を語り続ける。

リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔のミニチュア

概要

リスボンのテージョ川河口に立ち、大航海時代の海洋王国ポルトガルの栄華を伝える二つの記念碑。マヌエル1世が航海の安全を祈って建てたジェロニモス修道院と、インド航路開拓を記念し監視塔・灯台として使われたベレンの塔には、船、ロープ、貝殻、サンゴを意匠化したポルトガル独自のマヌエル様式が結晶している。

  • ポルトガル
  • 文化遺産
  • 1983年登録
  • 検定2級

見どころ

精緻な石彫の教会入口と回廊を見せるリスボンのジェロニモス修道院

海の意匠に包まれたジェロニモス修道院

サンタ・マリア教会と巨大な修道院からなり、55m四方の回廊が中庭を囲む。入口や回廊にはロープ、貝殻、サンゴ、植物などマヌエル様式の石彫があふれる。

夕方の光を受けてテージョ川の水辺に立つ5階層のベレンの塔

リスボン港を見守るベレンの塔

インド航路開拓を記念してテージョ川河口に築かれ、港を守る監視塔・灯台として使われた5階層の塔。正式名はサン・ヴィセンテの塔である。

地理

イベリア半島西端の都市リスボン、その西部ベレン地区に二つの記念碑がある。ジェロニモス修道院はテージョ川河口に近い陸側に長大な白い石灰岩の建築群を広げ、ベレンの塔はリスボン港の入口にあたる水辺に立つ。外洋へ向かう船が出入りした河口という立地が、二つを大航海時代の一つの物語で結ぶ。

修道院はサンタ・マリア教会と、55m四方の回廊が中庭を囲む巨大な修道院建築からなる。両建造物には、船、ロープ、貝殻、サンゴなど海に関する意匠を石に刻むポルトガル独自のマヌエル様式が見られる。ベレンの塔は5階層で、正式名をサン・ヴィセンテの塔といい、イスラム建築の影響をうかがわせる装飾も備える。

リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔の風景

歴史

ポルトガルでは13世紀後半からリスボンを中心に海洋貿易が活発になった。15世紀にはエンリケ航海王子らが航海技術の開発を推進し、外洋進出の基盤を築いた。その成果は15世紀末のヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓へつながり、ポルトガルは東方貿易を掌握してマヌエル1世の時代に黄金期を迎えた。

マヌエル1世はエンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの功績をたたえ、航海の安全を祈るため、1502年にジェロニモス修道院の建設を始めた。船、ロープ、貝殻、サンゴなどを用いるマヌエル様式の豊かな装飾は、海洋王国の富と世界観を建築に変えたものである。

テージョ川河口のベレンの塔は、インド航路開拓を記念して建造され、港を守る監視塔や灯台として利用された。5階層の塔にはマヌエル様式とイスラム建築の影響が重なる。二つの建造物は、大航海時代の発見が近代世界の形成へ及ぼした影響を伝える記念碑として、1983年に世界遺産へ登録された。2008年には登録範囲が変更された。

参考

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