概要
1753年にイギリスがカナダ東岸へ建設した計画都市。ロンドンで描かれた格子状の街路と均一な道幅、港から丘へ上る急坂、18~19世紀の木造住宅約400棟が残り、北米の英国植民都市の姿を伝える。
見どころ
机上の格子図が生んだ急坂
均一な幅の直線道路が、港の低地から丘へ急角度で上る。平らな土地を想定してロンドンで描かれた格子状計画と、実際の起伏がぶつかる町の個性が最もよく分かる。
時代を重ねたカラフルな木造住宅
約400棟の木造家屋には、18世紀半ばの建物と19世紀のヴィクトリア朝系住宅が共存する。下見板、切妻屋根、白い窓枠、鮮やかな外壁が港町の連続景観をつくる。
地理
カナダ東岸ノヴァスコシア州の港に面した旧市街は、18世紀半ばの英国植民都市計画をほぼそのまま保つ。南北6本、東西9本の直線道路が格子をつくり、中心のキング通りは幅24.4m、それ以外の南北道路は幅12.5m、東西道路は幅12.2mにそろえられている。
この整然とした図面は現地を知らない役人がロンドンで作ったため、地形への調整が乏しく、港から丘へ直線道路が急勾配のまま上る。旧市街には約400棟の木造家屋が残り、そのうち8棟は18世紀半ばの建築である。全体の約3分の2は19世紀の住宅で、明るい色の下見板張り、白い窓枠、切妻屋根などヴィクトリア朝建築の要素を見せる。漁師が海から自宅を見分けやすくするために外壁を塗り分けたとされ、色彩そのものが港町の生活と結びついている。
歴史
ルーネンバーグは1753年、イギリスが北米に建設した植民都市として成立した。宗主国で作られた長方形の格子状計画を現地へ当てはめ、道路幅や街区を統一したことから、計画的な英国植民都市の姿を明瞭に残す。港を基盤に漁業、造船、海上交易で発展し、住民は道路配置だけでなく木造建築の全体的な外観も守り継いだ。
18世紀半ばの建物8棟を核に、19世紀には現在の住宅群の約3分の2が建てられた。ヴィクトリア朝の意匠を取り入れながら、木造・下見板張りという地域の建築文化を保ち、海からも識別しやすい色彩が町の景観を形づくった。1995年、北米における計画的な英国植民都市の最良の現存例として、登録基準(iv)(v)で世界文化遺産となった。
